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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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それが起こったのは、例の騒ぎが75日経つまでもなく、忘られ始めたころの火曜日。
生徒会役員、定例会。
その命令が言い渡されたのは突然だった。

「松下と岡本さ、名前で呼び合うのやめろ」

「え!?」
「は!?」
二人が同時に驚きの声を上げた。
「なんですか、いきなり・・・」
「お前ら、本当に付き合ってるのか?」
「・・・いえ、そんなことないです」
答えたのは孝志。
事実なんだからそう答えるのが当たり前なのに・・・それを聞いて唇をかむ司。
中学生だったあの日から・・・二人の関係は硬直状態。
ずっと親友、それは変わらないけど・・・そこから先へは決して進めない。
「なら、やめとけよ。松下は次期生徒会長、岡本は副会長。あらぬ誤解のもとになるぞ。小沢さんはもう心配ないにしても、小沢さんの後輩はわからないんだからな」
確かに、その通りで・・・あの先輩が卒業した後は新聞部に圧力を掛けることもできない。
でも、そんなくだらないもののために、なんで・・・。
つい態度が反抗的になるのが止められなかった。
「そこまでしなくったって問題ないでしょう?別に名前で呼び合ってる奴らなんて学内にいっぱいいるじゃないですか」
司が行田にたてつくなど、普段なら絶対にない。けど・・・孝志のことに関しては譲れない。
「名前があだなの奴とはわけが違うぞ、お前らは他の奴らに名前で呼ばれてるか?」
「・・・呼ばれてない、です」
「だろ?お前らが名前で呼び合うのはいかにもお互い特別です、って言ってるみたいで腹立つんだよ」
・・・それは、行田先輩の私情じゃないんですか・・・?
その言葉が口をついて出るのを押さえて、代わりの言葉を探す。
「俺たちは幼馴染で、特別なんです」
「そうだろうけど、学内ではやめとけ。恋人同士だっていう主張に見えて仕方ない。それに、お前はよくても岡本に相手ができる妨げになるかもだろ」
孝志の相手作りの妨げになる、か・・・。
「いや、俺は相手を作るつもりはないです」
「え?」
「なんだよ、片思いの相手でもいるのか?」
「・・・言いません」
それは、いると言ってるのと同意語。
でも司には、それが誰なのかを聞く勇気はない・・・。
「ここじゃ言えないってことは俺か?」
行田が冗談交じりにそういった。
もちろん次には、まさか違います、っていう言葉が帰って来るんだと思った。
でも、次に待ってたのは、孝志の強張った顔だった。

本当に行田先輩・・・?

今までも、もしかしたらと思うようなことはたくさんあったけど、それが今、確信へと変わった。

頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。

やっぱり、俺は行田先輩にはかなわない・・・?

やっと考えられたのは、それだけ。