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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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12

翌日昼休み。
「昨日、どやった?」
尚樹が二人に聞く。
「ダメだ、俺のほうは。柔道部に3年生は2人しかいないし、小沢って誰だ、って逆に聞き返された」
「俺のほうもたいした収穫はなし。個人情報くらいしか聞けなかった。とりあえず本名は小沢綾人っていうらしくて、勉強はそこそこ。スポーツは苦手らしい・・・そんな感じのばっか」
「欲しい情報はなかなか手に入ってこないな」
「せやな・・・」
知らず知らずのうちに3人からため息が漏れる。
「どうしたものかね」
そう司がつぶやいたところで、携帯がバイブ音を立てた。
「あ、俺のだ、メール・・誰だろ」
ポケットから携帯電話を出して、開くと、司が眉をひそめた。
「どうした?」
「なんでもない、ただの迷惑メールだよ」
携帯をすばやく閉じて、ポケットにしまう。
解決策がみつからないだけに、空気が重い昼休みだった。
教室へ帰ろうと廊下を歩いていると、まだ注目を集めているのを感じる。
昨日よりも大分落ち着いているが、まだ二人は時の人であるらしかった。廊下を歩けば話題になるし、尾ひれがついて、尚樹がからんだ噂までされ始めている。
「・・・これは、収まるのを待つしかないか」
「だな」
同級生の好奇の視線には耐え続けるしかない。
騒いでるだけの周りはまた新しい話題が出ればすぐに忘れ去るだろう。

教室移動のない6時間を耐えぬいて、部活へ向かった。



孝志が柔道場を出て下駄箱へ向かうと、いつもそこでまっているはずの幼馴染の姿が見えなかった。何か時間がかかっているのかと思って待つが、なかなか来ない。
「どうしたんだ・・?」
さすがに、不安に思って、体育館にいたフェンシング部の1年生を捕まえて聞いた。
「松下君なら、今日は用があるとかで急いで帰ったよ」
「え?・・あ、ありがとう」
一言も聞いてない。
携帯をチェックするけれどもメールも着信もゼロ。
不思議に思って、携帯に電話をかけるけれど、電源が入ってない。
「本当に先に帰ったのか・・・?」
6組の下駄箱のところにいって、「松下」と書いてあるのところの下駄箱を空けた。
「靴がある・・・」
それは、まだ帰ってないということ。
「生徒会室かも・・」
すぐそばの生徒会室にはまだ灯りが点いている。
ドアを開けると、中の人物が振り返った。
「岡本」
「行田先輩、一人ですか?」
「ああ、そうだけど」
「司、来ませんでした?」
「今日は見てないな、どうした?」
「いえ、大したことじゃないです」
「それならいいけどな。今から帰るのか?」
「あ、はい」
「駅まで一緒に行くか」
行田が立ち上がり、鞄を持った。
「あ、でも、すみません。ちょっと司を探したいんで、先に帰ってください」
「なんだ、やっぱり松下が行方不明なのか?靴は?」
「まだ下駄箱に」
「部活には?」
「司は用があるみたいで急いで帰った、って言われました」
「でも学校にいるのか・・それは確かに変だな。しかもお前には何も言わなかったんだろ?いつも一緒に帰ってるのに」
「はい・・携帯も電源切ってあるし」
「もしかして、誰かの呼び出しか?最近恨みをかった覚えは?」
恨みをかった・・・?
もしかして、これも昨日のことが尾を引いてる?
それでも、昨日の状況から行くと、呼び出しが来るのは司じゃなくて自分のはず。
司が恨みをかうってことは・・・まさか・・・。
「新聞部・・・」
そこしか、ない。
「もしかして、小沢さんか?」
「はい」
「・・・お前ら、また厄介なのを敵に回したな・・・」
うんざりと言った風に行田が言った。
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も・・・もしかして、昨日の弱みだのなんだのって話、あの人がらみか?」
「そうです、けど・・」
「それなら助けてやれる。俺はちょっとやることがあるから、先に松下探しにいってろ。5分もしたら、俺も行く」
よくわからないけれど、その言葉にとりあえずうなずいて、生徒会室を出た。
向かう先は、部室棟。