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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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13

昼休み、重い空気の中で昼ごはんをたべているとき、携帯がなった。
見ると、知らないメールアドレス。まさか、と思う。
予想は的中。昨日メールアドレスを叩きつけてきた人からのメール。
『部活が終わってからでいいから、一人で新聞部の部室においで。岡本君がだめなら君でもいいよ』
内容に思わず眉をひそめてしまった。
どうした、と孝志から声がかかる。
なんでもない、と言って携帯を閉じた。

どうする・・・・?
現実的には、今のところ問題はなにも解決していない。
解決策も、あても尽きた。
しかも、蜂の巣をつついてしまった後だ。
条件を飲まなければ、また変な記事をかかれるとみて間違いない。
最近言動には気をつけているけれど、どこで誰がきいているかなんてわからない。
それに、もし次回も孝志がらみだったら・・・?
いわれのない中傷を浴びるのは俺じゃない。
昨日孝志の下駄箱にあった手紙の中には、このまえのテスト結果をむしかえすような言われようのものも多かった。
11位の次点だって十分すごいと思うけれど、孝志はその結果にショックを受けていたから、あまり思い出したいことではないはず。
そういう怒りを少しでも俺にぶつければいいのに、心優しい幼馴染は何も言わない。
それどころか、『司のせいじゃない』と言ってくれるだろう。
そんなことは絶対ない。
小沢もいってたように、俺が目立つことをしたから記事にされるんであって、孝志が記事にされる理由はなにもない。

もう、そんなことはやめにしたい。
俺のせいで孝志が傷つくなんて、バカな話だ。
自分のツケは自分で払うのが摂理。


あまり活動に身が入らないまま、部活が終わった。
「松下、どうした?具合でも悪いのか」
心配した先輩が声をかけてきてくれる。
「勉強のしすぎじゃねえの?」
また別の先輩からの揶揄。
「すみません、ちょっと・・・。この後用事があるんでお先に失礼します。お疲れ様です」
「お疲れー」
早めに部活を抜けて、体育館棟を出た。
この後のことで頭がいっぱいで、いつも一緒に帰る孝志に連絡をいれることなんてすっかり忘れてた。

部室棟に入って、昨日と同じ部屋をノックする。
すぐにどうぞ、という声がかかった。
中に入ると、昨日よりかは幾分か部屋が片付いている。
「いらっしゃい、松下君」
「どうも。こんにちは」
「今日は礼儀正しいんだね。昨日はすごい剣幕だったのに」
「・・・そんな話をしにきたんじゃないでしょう」
「そうだね。この時間にここにきてくれたってことは、僕の条件は了承されたってことでいいのかな?」
「・・・そうでもしなければ、また先輩は何か書くんじゃないんですか?」
「ご明察。君たちにはもっと色々楽しませてもらおうと思ったけど、それはできそうもないな」
「残念でしたね」
「いや、いいよ。十分そのかわりになるものをもらえそうだしね」
「前置きは、もういいです」
「僕の部屋とここ、どっちがいい?」
「ここで十分です」
そういって鞄を床に置く司をみながら、小沢が満足そうに微笑む。
「じゃあ校則違反には目を瞑る方向で」
銀縁の眼鏡をとって、丁寧に机へ置いた。
眼鏡に隠されていた端正な顔立ちが際立つ。
「いつもそうしてた方がかっこいいですよ、小沢先輩」
揶揄半分にそういってみる。
「ありがとう。君の潔いところはとても僕の好みだよ」
本当はもう一人の彼みたいに男気があって堅気っぽい方が好きなんだけど、と続く。
「あれだけは譲れないもんで」
「そう言うと思ったよ。妥協の変わりに少しくらいいじわるになっても許してくれるかな?」
いいながら、壁際に立つ司のところへとゆっくりと歩み寄る。
まだ真新しい司のネクタイが解かれた。
「あなたのいじわるはもともとみたいな気がしますけど」
小沢が微笑でその揶揄に答えると真新しいネクタイで後ろ手に司の両手を結んだ。
「こうした方が燃えたりはしないの?」
「こっちの趣味はないもんで」
「それは損をしてるね」
話しながらもブレザーのボタンは全部外され、ワイシャツのボタンに手がかかる。
一つ一つ、無駄に時間をかけながらボタンは外されていく。
「綺麗な肌だ、キスマークの一つもないけど?」
「当たり前でしょう、つけてくるような相手はいないんですから」
「へえ、それじゃあ片思いなんだ。かわいそうに」
クスクスと笑いながら、はだけたワイシャツの下を小沢の手が滑る。
湧き上がる嫌悪感を必死に隠して、慣れてる風を装うことが精一杯の強がり。
「彼はまったく気づいてないの?」
「さあ、どうでしょうね。知らないフリをしてるだけかもしれませんしね」
「なかなか寂しいことをいうんだね」
小沢が首筋に顔をよせてきたと思ったら、痛みが走った。
「何してるんですか」
「いいじゃないか、キスマークの一つや二つ」
含み笑いを向けてくる相手が憎たらしい。
小沢の手が胸の赤い突起を掴んだ。
「っ・・・」
「へえ、ここが感じるの?」
そこを指で捏ねられる。
身体に触られていること自体が気持ち悪くて仕方がないのに、そこに触られると変な感じが体全体に駆け巡る。
「・・っ・・くっ・・・」
「声を抑えないで。君の声が聞きたいな」
両手の親指で両方を弄られる。
「・・・っ・・・」
下唇を噛んで、必死に声を抑える。
「強情だなあ。でもココで感じるなんてヤリ慣れてるの?でも遊んでる風にも見えないし。もしかして自分?意中の彼を想像しながら自分でやったりしてるの?そうじゃなきゃ中々ここは感じるようにならないよねえ?」
ピン、とそこを指で弾かれた。
感じたくもない電撃が身体を走る。
「・・・だったら何だっていうんですか」
もうどうにでもなればいい、と思った。
小沢はそんな司を見てクックッと喉で笑う。
「君が一人でぬいてるとこ是非見てみたいけど、今日の僕は機嫌がいいからサービス」
そう言って、自分のネクタイを解いた。
何をするかと思えば、それを司の目に巻きつける。目隠し。
「岡本孝志君のこと、想像しなよ。彼にされてると思って感じればいい」
小沢が行為を再開した。
背中や首をやらしく撫でてくる手を感じながら、考えてしまった。

もし、コレが孝志だったら・・・?

それは、考えてはいけないこと。
でも、頭に浮かんでしまった。甘美な想像はなかなか振り払うことができない。
体温の高い大きな手が身体を這う。
「・・たか、し・・・?」
返事は首筋への少しの痛みで帰って来た。また一つ赤い痕がついたんだろう。
視界も手の自由も奪われて、頭までおかしくなってた。
もう司の中では、今さわってくる人間は完璧に孝志にすりかわってた。