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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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席に座ると同時に、机の中に何かが入ってることに気づく。

・・・紙?

折りたたまれた紙が何枚か机の中に入っていた。
ちぎったノートだったり、プリントの裏紙だったり、種類はさまざま。
それでも書かれている内容は皆同じようなもの。

『次点がいい気になるな』
『お前松下とつりあうと思ってるのか』
『松下司から離れろ』

司との関係への非難。
・・・司には知らせない方がいいな。
少し経てば、こんな嫌がらせくらい収まるだろうから。

「・・・はぁ」

6時間目は教室移動。化学の実験のために一階下の化学準備室へ。
上の空で実験をしながら、いつのまにか終了のチャイムが鳴った。
尚樹と一緒に教室へ戻る。
今日の授業が全部終了して、皆が嬉しそう。廊下も騒がしい。
「今日、部活やろ?」
「ああ」

教室に帰って、教科書を鞄の中に入れる。
・・・また、あった。
昼と同じような内容の紙が何枚か。
「・・・参ったな」
感慨にふけっていたせいもあって、後ろに誰かいるなんて全然気づかなかった。
「それ、鞄に入ってたん?」
「尚樹!」
鞄をしょいながら、手元の紙を覗き込んでくる。
「・・・こういう被害は予想外やったなあ」
紙を奪い取って、くしゃくしゃに丸めた。
「尚樹、司には言わないでくれないか?」
「なんで?」
「別に知らせるほどのことじゃないだろ?」
孝志の言葉に、不承不承といった感じではあるけれど尚樹はうなずいた。
「ごめんな」
「別に黙ってるくらいたいしたことないけど、早う犯人つかまえんと、こういうのはエスカレートしてくで」
「そうだな・・・でも、わからないもんはしょうがないだろ?」
「それもそやなぁ。司のファンなんて不特定多数やし」
「え、そうなのか?」
「知らんかったん?そうでもなければこんな紙が出てくるわけないやん」
「・・・それもそうだな」
司を狙ってた奴がいるとしたら、怒るはずだ。

・・・でも、そう考えるとしたら、あの張り紙はそこまで悪いものでもないかもしれない。・
こんなことは考えちゃいけないけれど・・・
あの張り紙を見て、司に近づくのをやめようとする輩がいるなら・・・。

「孝志、司のファンの方はどうにもできんけど、あの張り紙したやつなら、もしかしたらわかるかもしれんで」
「え?本当か?」
「・・・まだ予想やけど。とりあえず部活行っとき。できたら今日中に俺が解決しといたる。じゃあ、また明日やな。もし上手くいったときの報酬は岡本家の夕飯に招待してくれるだけでええよ」
一方的にそういい置いて、尚樹が教室を出て行った。