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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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夢見る明日より 確かないまを

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何回かある生徒会説明会のうち、の1回に集まったのは、司、孝志、尚樹の3人だけ。
「とりあえず俺の話はおしまい。それが、生徒会の活動記録」
4月26日の生徒会室でそう話を締めくくったのは、2年の行田秀悟(ユキタ・シュウゴ)。
噂に聞く、カリスマ生徒会長。
「役員がつかまらない・仕事が遅い・役にたたない」の最悪の3レッテルをこの人がすべて撤回させたらしい。
並の努力じゃできないと思う。
しかも2年生はこの人だけ。
仕事を全くやらなかった3年生と同級生は追い出した、と説明中に示唆していた。
実質は1人だけなのだろう。

活動記録をみるけれど、あまり書いていない。

「あ、スマン、最近活動記録つけてなかったからあんまり何も書いてないし、俺しか書く奴がいないから見ても大して面白くないだろうな」
「いえ・・・」
「生徒会選挙に出るなら、この用紙を2年2組の今庄に提出してな」
そういって、1枚づつ紙が配られた。
それで説明会は終わり。

3人で生徒会室を出た。
そのまま駅までの道を一緒に歩く。
「生徒会の建て直しの維持、面白そうだな」
「だね」
孝志と司がそう言う。
「俺は勘弁やなあ。根っからの商売人やから、金もらわんのに働くなんて無償は好きになれん」
尚樹はそう言った。

結局、生徒会選挙に出たのは、松下司、岡本孝志の2名。
信任投票の結果、もちろん2人ともが生徒会役員となった。


「これから、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
生徒会室での顔合わせ。
当面の仕事を教えてもらう。
司は副会長、孝志は会計の役割につくことになった。
副会長の仕事はしばらくは会長の片腕。
会計は独立していて、各部活からの領収書を預かり、お金を渡して、部費からその予算を引いていく。それから、年度末の各部活の予算編成。
その他の生徒からの苦情等受付は皆で。
そして、毎週火曜日の昼休みに定例会。
この定例会に出るほかは、各自仕事を進めれば生徒会室に顔を出す必要はない。

「あと、備品は勝手に使っていいからな。なくなって買出し行ったら領収書ちゃんと貰って来いよ」
秀悟の言葉に二人して、はい、と返事を返す。
「それから・・・」
切り出されたのは、突然。
「悪いけど、初めての中間テストは二人とも学年で10位以内に入ってくれよ。学年で10位以内に入れば名前が廊下に張り出されるから」
「・・・え?」
わけがわからない、というのが二人の感想。
もちろん、説明が追加される。
「建て直した生徒会の権力を認めさせていくためには、仕方がないことなんだ。なめられないためにな。」
生徒会役員の成績が悪いと他の生徒になめられるだろ、と言葉が続く。
なるほど、と納得してしまうが・・・要求された事は結構難しい。
「中間終わるまでは、生徒会の仕事は今までどおり俺がやるから。とりあえずそれだけがんばってくれ。本格的に仕事をしてもらうのは中間が終わってからでかまわない。ちなみに生徒会室で勉強すればわからないところは教えてやるよ」
そういわれたのが、中間テストの3週間前。

それから先は、もう必死。
中学のころからの得意分野は変わらなかったから、孝志は理系を、司は文系を主に教えあった。二人ともわからないところは秀悟へと聞きに行くか、先生のところへ。
部活がない日は学校が閉まるまで、教室か生徒会室で勉強。
学校が閉まってからは、夕飯を食べ終わるなりどちらかの家での勉強会となる。

テスト前一週間になると、部活動は全て禁止となった。

司のいる6組の教室は6時間目の授業が終わってしばらくすると教室に誰もいなくなるはずなのに、その日はそうではなかった。
孝志のいる1組でも状況は同じらしい。
「どうする?」
6組の教室で、小声で話し合い。
「勉強してる人がいるのに、俺たちがごちゃごちゃしゃべってたら悪いよね」
しゃべるといっても、わからないところを教えあうだけなのだけれど。
「そうだな」
「俺の家でやろっか」
「いいのか?」
「由美香も遊びに行ってていないだろうし、うるさくはないと思うから」
由美香は小学校4年生の司の妹。
「そうだな・・・それじゃあそうするか、健さえいなければ俺の家でもいいけどな」
「もういっそのこと泊まっていけば?夜遅くなると帰るの面倒じゃない?」
「こんな距離で面倒だなんて言ってられないだろ」
「まあね」

結局二人で帰ることに決めて、教室を出た。
勉強会の会場となったのは結局司の家。
孝志は荷物もおかずに、司の家の中へと入った。

少し奥の曲がり角で何かが光ったことなんて、全く気がつかずに。