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書評集

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廣野由美子『批評理論入門』


 「小説技法篇」では文学理論の概念装置を、「批評理論篇」では様々な批評方法を、具体例に即して平明に解説した本。具体例としてはメアリ・シェリーの「フランケンシュタイン」が用いられている。間テクスト性や脱構築などについても触れている。一度読んだだけで、文学に対する様々な見方、考え方が無理なく理解できる。文学について考えたい、批評の仕方を知りたいという人にはうってつけの入門書である。
 この本を読んで分かることは、批評というのは単なる作品の評価ではなく、むしろ作品の理解や解釈なのだということである。どのような視点から作品を理解するかによって、批評理論は分かれていくのである。作品を、作者の人生と照らし合わせて解釈しようとすれば伝記的批評になるし、精神分析理論の観点から理解しなおそうとすれば精神分析批評になるのである。だから、現実問題として、人生や世界・社会を理解しようとする理論の数だけ、批評方法はあることになると思う。それゆえ、この本には挙がっていなかったが、たとえば社会心理学批評というものも十分考えられるはずだ。
 この本では、小説とは何か、批評とは何かについてのそもそも論がほとんどない。新書本としてまとめるためにはそういった議論を省くのも仕方がなかったのかもしれないが、さわりぐらいは書いても良かったのではないだろうか。そういった議論があり、まがりなりにも小説や批評の定義などが書いてあれば、読者を統一的な理解に導くことも可能だったのではないかと思われる。


作品名:書評集 作家名:Beamte