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燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)

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 「そこにいる狐にね。宇城丞ちゃんに化けているようだけど、無駄だと思わないのかい?」
 ・・・・・・え?
 「狐は確かに人間を騙すことが出来るけど、あいにく私は人間じゃないんだ」
 ・・・・・・嘘だろ?
 「だから、その姿をやめてくれないかい? それは宇城丞ちゃんだけの物だよ」
 ・・・・・・何を言っているんだ?
 
 その時、宇城丞の身体全体が炎で覆われた。
 「宇城丞!」
 「亜紀ちゃん!」
 俺と宵は咄嗟に叫んだ。突然の出来事に身体は動かず声だけが先走りした。
 「心配することはないよ、燈籠くん、宵ちゃん。今に正体が分かるさ」
 結羽海さんが言ったと同時に炎が消え、一人の女性が現れた。
 それはもう、結羽海さんなんて比にならないくらい美しい女性が。いや、比べてはいけない程の美しさ。言葉を失うとは良く言ったものだ。言葉なんて出ない。
 「この姿で話すことを許してください」
 女性は言った。・・・・・・いや、狐なのだろう。妖孤と言うべきか。
 「別に構わないさ。それにしても美しいね。この山の長かな? 狐の美しさは年齢に比例するというからね。ま、そんなことはどうでもいいんだけどね」
 「ありがとうございます。しかし、何故わたしが狐だとお気づきになられたのでしょうか」
 この狐は喋り方すら流暢で優雅だ。どこで人の言葉を覚えるのだろうか。
 「君の呼び方だよ。宇城丞ちゃんはね、『結羽海さん』と呼ぶんだ。『麗華さん』と呼ぶのは宵ちゃんだけだよ。ま、あの時は宵ちゃんが『麗華さん』と言ったのを真似したんだろうけどね」
それだけで、見抜いたのかこの人は。
いや、『それだけ』と言うのは間違いなのかもしれない。誰もが気にしないようなことに気づく結羽海さんが凄いのだ。