燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)
「なぜ!? 何故分かったの!?」
怪奇現象よりもびっくりだよ。
「暇だったからね。心を読んでみたよ」
「お前が怪奇現象だ!」
「君は鬼じゃないか」
「く…何も言えません!」
どうせまた口に出してしまったんだろう。
この癖治さないと。
「ま、確かに行きすぎた理論や推論はある意味、最大の自己中だね。自分の考えを他人に押し付ける訳だから。確かに私の言動は理論や推論が多々存在すると思うよ。でも、自己中と化すのは結局は理論や推論だけの戯言を押し付けた場合さ。いいかい、燈籠くん。理論や推論も綺麗に混ざりあえば正論へと変わるんだよ。正論は自己中じゃないからね」
結羽海さんは、自己中呼ばわりをされたことを差ほど気にした様子もなく言った。
「でも、そう思わせてしまったのは私の責任だね。そこは謝るよ。でも、この在
り方が今の私を確立させているんだ。そこは分かってほしいものだね」
いや多分、ちょっとは気にしているかもしれない。 結羽海さんは、自分が自分ではないのじゃないかと恐怖しているのだから。
恐怖とは人間の本質たる部分を蝕む本能なのだから。
俺は少しだけ後悔した。
「ごめん」
俺がそう言うと「くくく、らしくもないね燈籠くん」とだけ言い、この会話の終
わりを告げた。
作品名:燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称) 作家名:たし