燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)
『某県某市で三十代男性が謎の変死。捜査から三日が経過するも詳細未だ分からず』
ということだった。
「変死?」
俺は、この記事もとい事件の重要性が記事を読んだだけでは、全くと言っていいほど掴むことが出来なかった。多分、他の二人も俺と同じ気持ちなのだろう。何が重要なのか分からないというように首を傾げている。
唯一繋がる点を上げるとしたら・・・・・・
「変死が怪奇現象ってことか・・・・・・?」
このぐらいしか俺の頭では考えることが出来ない。何よりも情報が少なすぎる。
「端的に言えばそうだね。しかしそれだと限りなく曖昧だよ、燈籠くん。それは、君自身、怪奇現象解決部に入部しているし、君自身、怪奇現象に会ったからからそう感じるだけであって、違う部活や通常の人間はそういう感情を抱かないだろうからね」
今日の結羽海さんは結論から言わず、要点を話してから結論へと向かうらしいい。
「この変死は怪奇現象の始まりでもあり、予兆とでも言うべきなのかな。ここからの話は私の推論と、とある情報屋の情報で成り立っているのを分かってほしい」
そう言ってから話は本題へと移って行った。
「君たちは去年の日本国内年間死亡者数を知っているかい?」
「いや、さすがに知らないな」
宵も宇城丞も俺と同意見らしい。無言で首を左右に振っている。
「━━約百十一万超だよ。日本国内でそれほどの人間が命を落としている。そして、この死亡原因には、交通事故・病死・自殺・寿命などがあるよね。この中で先程話をした『変死』は病死に含まれているらしいね」
らしい、ということはこれは情報屋の情報なのだろう。
「そして、だ。この日本国内年間死亡者数の第一位、要するに一年間で一番人間が死亡した県は、さっきの変死した男性の━━某県だよ。そして、死亡要因の約五割を占めるのが━━病死なんだ」
そう言い切った結羽海さんの表情は実に愉快そうだった。怪奇へと近づいていくことに、快楽を覚えているんだろうか。
そして、今の話でなんとなくだけど話が読めてきた。直接的な原因は見当はつかないが、決教は某県で怪奇現象による変死が多発。その始まりの人間が先程の記事の男性だったのだろう。
作品名:燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称) 作家名:たし