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燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)

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 「叫んだらどうだい?」

 いつの間にか俺は部室の前まで来ていたらしい、そして、これもまたいつの間にか背後に立っていた結羽海さんに話しかけられた。
 「━━高校生活とは何か。考えたらキリがないだろうね。人は何十億と存在するんだ。何十億通りの答えがあると思うよ。数学や物理学などといった計算方式が通用しないんだ。ある程度答えが似ていても本質足る部分や根本的な部分は違うだろうね。だからこそ、考えていて実に楽しい題材なのだけれどもね。答えが決まっている物程つまらないものはない。所詮はただの参考程度にしかならないからね。燈籠くんもたまには面白い題材を考えるものだね。実に感嘆だよ。故に、抱腹絶倒でもあるかな」
 「いつから聞いてたんだよ!」
 「私に対していつからって聞くのもまた愚問だと思わないかい? 私がもし『ついさっき最後の方のからだよ』と言ったら君はそれを信じるだろうし、『多分、初めからだよ』と言っても君は信じるだろうからね。まぁ、でもここは燈籠くんに免じて答えてあげることにするよ。━━初めからさ」
 「気配を消してた!?」
 第一クラスも違けりゃ学年も違うだろ。
 なぜ初めから俺の心の内もとい一人言を聞けるんだよ。
「くっくっく、気配を消すことが出来たらそれはそれでとても愉快なことになりそうだよ。単なる意識の問題さ。燈籠くんの意識レベルが低かったら、私に気づくことが出来なかった。簡単なことじゃないか」
「理論で喋るな!」
「推論でもあるよ」
そうは言っても最近はこの結羽海さんとのやり取りが楽しかったりする。出会った当初は、話すだけで疲れていたのだが今は違う。 要するに慣れてしまえばどうってことないってことさ。
「そう言えばさ、結羽海さん」
俺は、とあることを思いだし結羽海さんに言った。
「昨日言ってた狐の嫁入りってなんなの?」
昨日結羽海さんからは詳細を聞いていないから、答えはまだ謎に包まれているのだ。
怪奇現象であることは間違いないと思うが、中身が分からない。中身が分からない話なんて意味が分からないだけだ。
「それは皆が来てから話すことにするよ。ひとまず中に入らないかい?」
「そうだった」
結羽海さんに諭され、俺は部室の横開きドアを開いた。