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燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)

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「例えばか。そうだね、亜紀ちゃんの隣にいる燈籠くんがいい例だと思うよ」
「燈籠くんが・・・・・・ですか?」
さぞかし不思議そうに宇城丞が俺の顔を覗き込んだ。
しかし、俺の後遺症は目で見て分かるものではない。
結羽海さんもそれを分かっているからだろう。
手っ取り早く結論を述べた。
「燈籠くんは鬼に出会った。貶され虐められ呪われ蔑まれた。そして━━笑われた。彼の体には鬼の血が流れている。詳しくは今日の帰りにでも聞くといい。そして更にいい例がある。それは紛れもない━━私だよ」
頭の整理がつかないであろう宇城丞に結羽海さんは畳み掛ける。
「約一年前この部活に入部したばかりの私は、当時の先輩方に連れられて神隠しが多発した場所へと向かった。実に滑稽な話だ。勿論、神隠しにあった。何故だかは未だに解せないが、私以外を除いてね。しかし、身体を隠されなかった私はとあるものを隠されたんだ。何か分かるかい?」
問いただされた宇城丞は答えない。
いや、答えることが出来ないのだろう。
次元が違う話に圧倒されているのだろう。
そして宇城丞が沈黙することは、多分結羽海さんには百も承知だろう。
これは一瞬の間を作り出すための、ある一種の技法だろう。
 そして結羽海さんは言った。

「それは━━私だよ。私を構成するものが隠された」

 「え? どういうことですか?」
 結羽海さんの言葉に、宇城丞ではなく宵が答えた。俺の身体の秘密を知っている宵でも結羽海さんの身体のことは知らなかったらしい。
 俺が言ってないんだから当たり前か。
 結羽海さんがわざわざ宵に言うとも思えないし。
 「言葉の通りさ、私を構成する物が隠されたんだ。この目もこの顔も何もかもが私のものではない。私のものだ、と言えるのは『脳』くらいだろうね。後は━━違う」
 結羽海さんは続ける。