燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)
「どうしたんだい、燈籠くん。思案顔なんかしちゃって。まぁ、さながら法律を無視した私に疑問を抱いている・・・・・・というところかな?」
「それ以外の何物でもねぇよ!」
くそ、改めて言われると思わず突っ込みを入れてしまう。
「君の突っ込みはいつも的確で正確で恍惚とした気分になるよ」
気味が悪いからここはスルーだな。
隣にいる宇城丞が俺の太ももの当たりをポンポンと叩いてサイン(多分突っ込みを入れろ当たりだろう)を送っているがこれも無視。
いちいち相手にしていたら話が進まないだろ。
「さぁ、燈籠くんにスルーと言う名の無視を決め込まれたところで本題に入るとするよ。愛好会への成り下がりも免れたことだからね」
結羽海さんは長机に置いてあったコーヒーを一口だけ飲み、続けた。
「君たちが入部した怪奇現象解決部━━活動内容としては、その名の通り怪奇現象を解決する部活だ。ここで言う怪奇現象とかオカルトや超常現象も全て含まれている。身の回りに起きる摩訶不思議な出来事を解決するんだ。しかしながら、それにはそれなりの犠牲が伴うことも頭に入れていてほしい。全ての怪奇現象が人間の味方ではないからね。だから怪奇現象なんだ。まず初めに聞いておくが君たちにその覚悟があるかい?」
そう言う結羽海さんの表情はいたって真面目だ。
いつもの人を嘲笑ったような笑みも、口調も態度も何一つない、純粋な問いだ。
「犠牲って例えば何ですか?」
宇城丞が言った。
そうか、宇城丞は俺のこと知らないんだな。
そして、結羽海さんの秘密も。
作品名:燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称) 作家名:たし