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燈籠くんの怪奇的高校生活(仮称)

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「という訳で連れてきましたよ、結羽海さん」
 俺は、コーヒーの香りが漂う部室の一角を陣取る、革張りの一人掛けソファーに座る結羽海さんに言った。
 結羽海さんは、一瞬の沈黙を作り出した
 「主語が抜けているよ、燈籠くん。何を連れてきたんだい? 主語がない会話なんて成立するわけがない」
 ちっ、面倒くさい・・・・・・とは口に出さない。
 言い直すしかないか。
 「面倒くさい・・・・・・か。考えていたことを思わず口に出してしまったのかい? 心の内をさらけ出してしまうこと、面倒くさがり行動に移さないこと、共に人間が覚えた愚かな行為の一つだよ。ま、今は深くは追求しないよ。カワイイ新入部員の手前だしね」
 そんな新入部員の宇城丞と言えば、俺の隣で顔を輝かせていた。宇城丞的に結羽海さんのような人種は初めてなのであろう。宇城丞の顔を一目見れば分かる。
 面白い人見つけた、と顔に書いてあるようなものだから。
 「宇城丞亜紀です! 怪奇現象どんとこいです! 怪奇現象大歓迎です! 今から面白いこと起きそうでドキドキしてます!部長、これからよろしくお願いします!」
そんなうるさいくらいの宇城丞の自己紹介に対し、結羽海さんは、くつくつと喉を鳴らし楽しそうに答えた。
「知っているよ。新入生のことは大抵調べあげたからね。プライバシーの保護、個人情報保護法の欠片もないくらい緻密に入念にね。亜紀ちゃん、君は一国の危機を救った救世主に等しい存在だよ」
おいおい、プライバシーの保護も個人情報保護法も国が定めたものじゃないか。
あまりにも堂々と言うから少し聞こえがいいじゃないか。
言われた張本人の亜紀はさほど気にした様子はない。面白ければ何だっていいんだろう。
傍らに座る宵も気にした様子はない。
いつも通り会話のやりとりを楽しんでいるんだろう。
・・・・・・おいおい、なんかこの4人の中にいると俺が気にしすぎの神経質野郎みたいじゃないか。俺が一番正当で正確な疑問を抱いているはずなのに。
けどな、俺は毒されないぜ。決してな。