政治・社会 憂さ ばなし 短編集
ストレステスト
『全原子力発電所のストレステスト(耐性評価)が実施されることになりました。…………その間、原発の再稼働は認められません』
暑い夏が始まった。電力不足の夏である。
毎日〈でんき予報〉が発信され、電気の使用を控えることが“善”であるとされてしまった。正直者ほど律儀に従おうとする。
熱中症で倒れる人が急激に増え、死者まで出るありさまとなった。
2週間経過した頃、ストレステストの結果が報じられた。
『生命にかかわる事態が多数発生しており、直ちに電力を供給すべきものと、原発の再稼働が容認されました』
人々は放射能汚染の可能性を憂いながらも、どこかほっとしているところもあった。
将来に思いを馳せるよりも今が大事!?
暑さに対するストレスか
放射性廃棄物や原発事故による放射能汚染に対するストレスか
問題山積みのまま進展をみせず、福島原発収束の目途がつくまで続投意欲いっぱい、記者の進言と思い付きだけで発言する首相であり、後任リーダーの存在が見当たらない現状のストレスか。
ストレステストを課されているのは、私たち、である。
さて、どこまで耐えられるものか!?
2011.7.14
作品名:政治・社会 憂さ ばなし 短編集 作家名:健忘真実