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聖霊学園

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望璃の通り名――それは、『ノンジャンル最強のOG』である。“力”にはジャンルがある。水、火、氷、雷、風、草――または光、闇。自然にあるものはそのまま“力”のジャンルとして確立している。
例えば美園は人の視神経を刺激し、幻覚を見せる。自然界にはないものだ。これをノンジャンルという。先程貴文が“事後処理”と称して行ったものもノンジャンルに分類される。サブとしてノンジャンルが使える者は仕事が楽に進む。また、人によって、そもそもサブの“力”を持っていなかったり、あと“力”の内容にも個人差がある。誠也のようにテレポート、テレパシーは使えるが記憶操作は出来ないという者もいる。だからコンビを組むことによりそれを解消するのだ。
そして、メインとしてノンジャンルを使う者も少なからずいる。
望璃もその一人だ。
因みに、上級クラスの1位と2位もノンジャンルだ。五大名家は、満月家含みノンジャンルが2つ、あとの3つは、水、光、天だ。天とはすなわち神。ノンジャンル以外の全てのジャンルを操る。一つ一つのジャンルの“力”の効力は下級クラスの1位並みだが。
望璃はノンジャンルの“力”を幾つも持っている。その“力”が最大限に発揮されるのが満月の夜だった。満月の夜の望璃の“力”は計り知れない。
だからこそ得た、『ノンジャンル最強』の称号なのだ。
「最強じゃない望璃さんなんて望璃さんじゃないね」
含み笑いでそう言った瑠璃に、瑠音はどう返答して良いやら分からなかった。
「取り敢えずそっち行く」
――次の瞬間。
瑠音は3階廊下から 1階大広間に飛び降りた。
「ぁ」
「もう出てきていいぞ」
瑠璃は「危ないだろ!!この馬鹿兄貴!!」と叫びたかったのに後ろを振り向いた瑠音の言葉に遮られてしまった。
「ちわっス」
「どうも~♪」
先頭を切って歩いてきたのは、瞳が若草色の長い黒髪をポニーテールにした少年のような少女と、胸の上まで伸びた派手めな金髪金眼の、流行の最先端のような少女だった。その後ろには3人が横に広がって歩いている。
「初めまして。俺は上級クラス第5斑グループ長草原陸(クサハラリク)といいます」
「どうも~光麗(コウライ)家のサラブレッド、光麗姫路(コウライヒメジ)でっす!姫、って呼んで下さい」
「へぇ!光麗家って“力”の血が絶えたんじゃないかって言われてたのに」
「あたしは光麗の“力”を持って生まれました!約80年ぶりらしいです」
「それでサラブレッドか」
なるほど、と頷く瑠璃の後ろで誠也が「久しぶりだな」と言った。
「何?誠也。瑠花のグループに知り合いいたの?」
瑠璃が振り向くと、誠也の横に見覚えのある顔がいた。
「……鎖羅(サラ)?」
鎖羅、とは学園長である恭輔の秘書で、五大名家謎乃(メイノ)家の次期当主だ。瑠音と同期で卒業した鎖羅が、何故中等部にいるのか。
「サラ?誰だよそれ。此処にいるのは鎖耶(サヤ)だぞ」
誠也が当たり前のように言う。
「初めまして。私は謎乃鎖耶っていいます。誠也と美園とは幼なじみで、鎖羅は私の姉なの。姉からよくあなたの話は聞いてます。よろしく瑠璃ちゃん」
「鎖羅の妹、か。こちらこそよろしくね、鎖耶」
「……私は、美由紀(ミユキ)。雪野美由紀(ユキノミユキ)。よろしくお願いします…」
「私は岩槻(イワツキ)かなでです。よろしくです」
「じゃ、こっちも自己紹介しよっか。僕は皆さんご存じの通り水野瑠璃だよ」
「俺は鎖耶の幼なじみ火澤誠也(カサワセイヤ)だ。よろしくな」
「同じく魅幻美園だよ。よろしく」
「……氷河貴文(ヒョウガタカフミ)、」
 ボソッとそれだけ言った貴文に、剛志が「え゛」と声を上げた。
「…それだけかよ」
「俺は佐風幸博。よろしくね」
「俺は雷雅剛志だ。よろしく」
「一通り自己紹介は終わったね。じゃ、作戦立てようか。瑠音兄ぃ、“敵”の情報を教えて」
「K市光明高校2年、花澤深咲。今まで3人を退学、1人を自殺に追いやっている」
「……作戦Aには?」
「引っ掛かってくれたよ。俺が言うのもナンだけど、かなりの面食いで、男どもを侍らしてる」
「それは都合いいな。被害者はどんな奴ら?」
「花澤に楯突いた女一人と男一人。花澤の陰口を言ったとかで女一人。自殺した一人は――花澤より可愛い女」
「……虐め方はどんな?」
「退学で済んだ3人は、花澤の取り巻きの男どもに殴る蹴るの暴行中心。特に女2人は友達だった女子からも裏切られて髪をバッサリだ」
「……自殺したのは?」
「基本的に花澤を中心とした女子からの陰湿な虐めだな。ほら、漫画とかでよくあるアレ。教科書に落書きされたり靴隠されたり、ってのが段々エスカレートして行って、最終的には『自殺コール』だそうだ」
「自殺コール?」
「屋上で取り囲んで、一斉に『自殺』と連呼する。最終的に気が変になって、そのまま飛び降りたそうだ」
「最っっ低だな」
陸が低い声で唸る。
陸は過去に、親友だった友人が虐めを原因に自殺するという経験がある。その友人も、美貌が原因で虐められていた。
「で、瑠花は?」
瑠花がどちらの方法で虐められていたのかということを、瑠璃は聞きたいのだ。
「後者だそうだ」
「へぇ、面白いじゃん」
作品名:聖霊学園 作家名:秀介。