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貴方が望むなら[前編]

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その性質が為にお前は夜を暗く思うはずだ。夜に語りたがるだろう、ヨガタリ。夜から目を離すのが怖いはずだ。

その恐怖がまだお前に残っている人間性の欠けら。


「結構怒ってるんだ…カプリもヒューマも勝手でな。だけどヨガタリ」
黙りこくっている男に少女は怯まない眼差しと、嫣然たる微笑を一つ与える。
「カプリの痕跡をたどりたいなら、カプリがどうして失われたのか知りたいなら」
お前は知るべきだ。お前という人間を。
「私がどうしてシェに関係するんだ」
「ほら見ろ理解してない」
くつりと笑って、綺麗に塗られた爪先でカップを弾く。そしてまだ記憶を探っている青年を十分に意識して。少女は一文を言葉にした。
「それはお前、カプリ・シェはお前が好きだから、消えたからさ」
鸚鵡返しに問うこともせず、ヤワはただカップを傾ける。腹に何かいれて考えたいと思っているのかいないのか。ただ硬直した顔のまま淡々と飲み干して。
代わりのように青年がソレまでの柔らかな雰囲気を転じて少女に微笑んだ。刃のような微笑。
「陛下、カプリ・シェは今でも先生のことが好きなんですか?」
「さてなぁ、まぁ。あれだ若いの」
道端でばったり会ってうっかり一目ぼれぐらいはするだろうよ。お前頑張る気なら相当努力しろよ。
何せ相手はカプリ・シェの根本だ。洒脱で気風のいい姐さんだ。引き際よく果敢に押しておしておしまくって既成事実をつくってコレを手に入れる程度のことは朝飯まえだぞ。
滔々とまくし立てた少女に、青年は「そうですね」と笑んで腹の中でこれからの計画を練りだした。
「それで若いの、お前の記憶で、ヨガタリはどうだった?」
「さて…陛下の意図に沿ったものかどうか分かりませんが」
俺が知る限りの先生をたまには語ってみましょうか?





作品名:貴方が望むなら[前編] 作家名:有秋