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さかきち@万恒河沙
さかきち@万恒河沙
novelistID. 1404
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Light And Darkness

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ACT,9





 病院の方では、由々しき問題が起こった。人間たちが、自分たちが生んだ常識の範囲で、ことをどのように片づけるのかはひとつの見所だったが、ともあれ悠弥と義貴は再び爆発事故に巻き込まれた不幸な患者ということで扱われた。後のことはどうなったのかよくは知らない。
 関与のしようもないことだった。
 やけに暑い、初夏空が病院の窓から見える……。
 テレビのニュースによると、梅雨入りもそう遠くはないそうだ。湿気の季節がやってくる。
 悠弥と義貴はというと、今は一般病室で、隣通し仲良くならんで過ごす毎日である。
『不運にも爆発事故に巻き込まれた』ふたりの入院期間は、二ヶ月に伸びた。悠弥は打撲がめっぽう増えたし、義貴は裂傷がすこぶる増えた。


「っとによ……てめぇ性格悪いんだよ、忍日」
 と悠弥が愚痴るには例の――今となっては消し飛んでしまった――病室のことである。霊が出るだの何だのという噂のあった例の病室に入院することになった義貴は、初日の夜に病室全体を『浄化』して、迷った霊魂をみな黄泉の国へ送り届けてしまったらしい。
 遅れて入ってきた悠弥には、何も起こるわけがない。
「おまけに霊なんか信じない、とか何とかいってたよなぁ? 聞き間違いかなぁ?」
 嫌味たれる悠弥に、しかし義貴は動じない。
「……だから、すみませんて」
「どうだかな。おれに気がついてて黙って見てるなんてなぁ。傷ついたなぁ……」
「悠弥。自分のことを棚にあげないで下さい。しょうがないでしょう、お互い疑心暗鬼で人生どん底だったんです。私には、自信がなかった……あなたが目の前にいるなんて、信じられなかったんですよ」
「どーだか。そうやって面白がってよー」
 すると義貴はとたんに肩を落として悲しげにいった。
「ああ、あなたにはわかって貰えると思っていましたのに。もし万が一私の勘違いだったら、期待が裏切られたら、どうすればよかったんでしょうねぇ。また手首切っちゃいますよ。天照さまにお願いして、消滅しちゃうかもしれませんよ。意地悪ですねぇ、悠弥は」
「……馬鹿。シャレんなってねぇよ」
 悠弥はそう答える。