Light And Darkness
すべてが終わってしまったあと、彼女は、かすかに微笑んだ。確かに、それを見た。
「私は。……お前を、赦さない……」
そして彼女は、そのまま声もなく。
沈痛な沈黙の下。
押し潰されるように。
舌を、噛み切って果てた――。
汚された巫女は、いっさいの神力を失う。
躊躇ない素早い決断であり、最悪の拘束力を持つ、抗議だった。
たちまちあたりを酸味のある生臭い匂いが満たし、顎がのけ反った。こときれた、宿体の命。
広がる真紅。痙攣する指先。
我にかえる、久米命――現実を認識する。罪を犯したことを知る。
あふれる赤……赤い色。
――ひ……。
何かが崩れ去る。
――あ……あ。
吹き上がる、慟哭。
――あああ!
おれは、取り返しのつかないことを――。
――なんてことを――!!
作品名:Light And Darkness 作家名:さかきち@万恒河沙