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天女の血

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「よくできました」
美声に褒められた。
その手が美鳥のほうに差しだされる。
携帯電話を渡せ、というように。
だから、美鳥はそのとおりにする。
正樹は携帯電話を受け取ると、それを机の上に置いた。
その様子を、美鳥はなにも言わずに眺める。
おそらく美鳥が携帯電話で乃絵と話していたあいだにだろう、正樹はスーツの上着を脱いでいた。ネクタイもゆるめられている。
正面にいた正樹が移動して、隣に来た。
その身体が近づく。
背中と足のほうに、正樹の腕がまわされる。
美鳥の身体が浮いた。
あ、と思う。
イスから抱きあげられたのだ。
しかし、美鳥は声をあげずにいる。
正樹は美鳥を軽々と運ぶ。
少し進んだところで立ち止まり、腰をおろした。
それに伴い、美鳥の身体が教室の床に近づく。
正樹は美鳥を床に横たえようとする。
逆らわず、美鳥は頭を床に落ち着けた。
身体の下にある床の堅さが、服越しであってもしっかりと伝わってくる。
視界には、天井。
そこに正樹の顔が入ってきた。
美鳥を見おろしている。
美しい顔。
その口が動く。
「初めてがこんな場所で、ごめんね」
優しい声で謝った。
それから、正樹は手を伸ばしてきた。
美鳥の白いブラウスの襟元へと。
綺麗に結ばれた赤いリボンの端をつかんだ。
するりとリボンが解かれた。
そのリボンは美鳥からは見えないところに置かれた。
正樹の手がブラウスのほうにもどってくる。
ブラウスのボタンを上から順にはずしていく。
なにをされているのかわかっていながら、美鳥はぼんやりと天井を見あげていた。
やがて、制服のブラウスのまえを開かれる。
あらわれたブラジャーに、正樹の手が置かれた。
ブラジャーをさわってた手がストラップを外したのを感じる。
カップを下げられた。
隠していた胸のふくらみが外に出される。
正樹が触れてくる。
男の手。
それが、なでる。
もまれる。
妙な感覚に襲われて、美鳥は唇を開き、ふっと息をもらした。
「かわいいね」
正樹の声が身体の上から聞こえてくる。
それが胸のふくらみについてなのか、今の反応についての感想なのか、わからない。
作品名:天女の血 作家名:hujio