小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

天女の血

INDEX|67ページ/146ページ|

次のページ前のページ
 

「興味があるのかい?」
からかうような声。
それに反撥して、興味なんかまったくないと言いたくなる。
しかし。
「あれだけ大きな事件だ、そりゃ、興味ぐらいあるさ」
十兵衛は不機嫌な顔でイスにふたたび腰をおろした。
直後。
「依頼があった」
もったいぶることなく、都築は話し始める。
「吸血鬼事件の犯人を捜してほしいそうだ」
「だが、さっき、仕事はないって言ったよな。ってことは、その依頼、断ったってことか?」
「ああ、ヤバすぎると判断したからね」
安くてつまらない依頼は受けず、ヤバくて高い依頼は受ける。だが、ヤバすぎる依頼は受けない。
それが都築探偵事務所の方針である。
ただし、ヤバすぎるかどうかの判断は所長である都築がするので、ヤバすぎないと判断されて受けた仕事であっても、他の者から見ればヤバすぎる場合もある。
「依頼人は、戸浪君が帰ったのを見計らったようにやってきた」
戸浪君とは戸浪由理子、この探偵事務所の事務員である。
十兵衛よりも十歳以上年上の美人だ。
しかも仕事がよくできる。
どんないきさつがあって彼女ほど優秀な人材がこんな物騒な事務所に勤めることになったのか、十兵衛は知らない。
「その依頼人がヤバすぎるのか?」
「ああ」
都築はうなずいた。
「コウヘイキの者だった」
「アイツらか……!」
そう声を荒げ、十兵衛は顔をしかめた。
コウヘイキを漢字にすると、高平器あるいは高平機。
高度平和機器開発機構、の略である。
その名称からはどんな団体であるのかよくわからないだろう。
わからなくていいのだ。
闇の組織だから。
作品名:天女の血 作家名:hujio