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天女の血

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顔が良くて、体格も良くて、勉強ができて、運動も得意。
完璧すぎる。
だから、緊張してしまう。
その気持ちが、美鳥にも理解できた。
「妙なあだ名で呼ばれたりしますし」
「電信柱ですか?」
「いえ、だから、それではなく」
「じゃあ、どんな?」
「……」
どうやら言いたくないようだ。
しかし、美鳥は建吾が答えるのを待つ。
無理にとは言わないが、できれば、その妙なあだ名を聞きたい。
好奇心だ。
建吾は観念したように口を開く。
「王子、です」
「ああ」
美鳥は納得した。
そのあだ名は建吾に合っているように感じる。
だが、建吾は眉根を寄せた。
「ひとつ言っておきますが、うちは男子校です」
星戴学園が男子校であるのは、言われなくても知っている。
そんなことは建吾もわかっているはずだ。
あえて言ったのは、そのあだ名で呼んでいるのが男だと伝えたかったからだろう。
建吾が学校で男子生徒から王子と呼ばれている。
それを美鳥は想像した。
「嫌なんだ」
つい敬語を忘れた。
「嫌です」
苦虫をかみつぶしたような顔で、建吾は返事をした。
おかしい。
美鳥は吹きだした。
すると、建吾は美鳥の笑っている顔をじっと見る。
その建吾の口が引かれ、口角がわずかに上がった。
笑っている。
ずるいな、と美鳥は思った。
端正な顔に笑みが浮かぶと、さらに人目をひく。
見とれてしまいそうになる。
作品名:天女の血 作家名:hujio