小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

天女の血

INDEX|42ページ/146ページ|

次のページ前のページ
 

「すごい」
思わず、美鳥の口から称賛の言葉が出た。
だが、その隣で乃絵は難しい表情をしている。
「さっき武芸の心得があるって聞きましたけど、運動も得意なんですか?」
「はい」
乃絵の問いに、建吾はうなずく。
そういえば、昨日、十兵衛から応援に来る者が強いのかを聞かれて圭はきっぱり肯定していた。
「顔が良くて、体格も良くて、勉強ができて、運動も得意」
乃絵が建吾の長所を次々に挙げる。
しかし、しかめっ面をしている。
可愛い顔立ちが、台無しだ。
「完璧すぎる」
ビシッと言い放った。
その対象である建吾の表情がわずかに揺れた。
「完璧すぎて近寄りがたいって言われたことないですか?」
「え……と」
ここにきて初めて、建吾が答えあぐねている。
「ありますよね。おまえすごいよな、とか言いながら、まわりがちょっと距離を置いてるとか」
「……」
建吾は黙っている。
どうやら心当たりがあるらしい。
「この問題をどうやって解決するか」
乃絵は口に手を軽くあてて考えている。
そして。
「そうだ、今日から、あだ名は、電信柱、ということで!」
得意げな表情で提案した。
身長が百五十ちょうどの乃絵にとって、百八十を越えていると思われる建吾の身長はかなり高く感じるのだろう。
でも。
「電信柱ほどは背が高くないんじゃない」
美鳥は冷静に指摘した。
「……ツッコミを入れるポイントはそこなんですか」
「そうそう、電信柱と同じ高さじゃないのは問題じゃないの。重要なのは、電信柱のように見えるってこと」
「それはそうね」
「納得しないでください。だいたい、見えるか見えないかは別にして、どうして俺のあだ名を電信柱にする必要が?」
「ああ、だって、親近感がわいていいでしょ?」
乃絵の建吾に対する敬語が完全に崩れてきている。
いちおう、乃絵は一月生まれの十六歳で、建吾よりは年下なのだが。
作品名:天女の血 作家名:hujio