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天女の血

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しばらくして、下駄箱のまえに着く。
美鳥と乃絵が上履きからローファーに履き替えていると、女生徒がふたり走ってきた。
クラスメイトだ。
彼女たちは美鳥と乃絵の近くで立ち止まった。
急いでいる様子で、下駄箱から自分の靴を取りだしている。
「ねえ」
乃絵が彼女たちに声をかけた。
「なんかあるの?」
すると、クラスメイトふたりは乃絵を見た。
「あ、乃っち」
「校門の近くで、すっごくカッコイイひとがだれかを待ってるんだって」
「モデルとかしてそうなぐらいらしいよ」
「それ聞いたら、見てみたくなって」
「眼の保養に!」
ふたりは楽しそうに笑った。
そして、素早く靴を履き替えて、校門のほうへ向かう。
残された美鳥と乃絵は顔を見合わせる。
「うちの生徒の彼氏かな?」
「さあ?」
いつもと変わらない速さで、下駄箱を離れた。
しかし、まったく興味がないわけではない。
だが、このまま行けば、どうせ、校門の近くを通るのだ。
そのときにチラッと見ればいい。
「どんな顔だろ?」
歩きながら乃絵が言った。
乃絵も興味があるようだ。
「アイドルっぽいのかな」
「でも、モデルとかしてそうなぐらいって言ってたし」
「モデルって、なんか、アイドルよりは体格がいい感じがするよねえ」
やがて、校門を通りすぎて学校を出る。
たしかに、そこに、いた。
うわ、と美鳥は胸のうちで声をあげた。
ちょっとした騒ぎになるのがわかる。
さっと視線を走らせて顔を確認するつもりだったのが、つい眼がその顔の上で止まってしまった。
それぐらい、格好いい。
相手が美鳥を見た。
美鳥はあわてる。
できるだけさりげなく、眼をそらした。
だが。
「市川美鳥さん、ですよね?」
フルネームを呼ばれた。
作品名:天女の血 作家名:hujio