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天女の血

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怒りで我を忘れたように男たちが襲いかかってきた。
しかし、それで逆転することはない。
建吾は男たちを倒していく。
ふと、頭に、美鳥の姿が浮かんだ。
今日の放課後、家庭科室で見た姿である。
トレードマークのようなメガネをかけていなくて、裸眼だった。
いつもは頭のうしろでひとつに束ねられている長い黒髪はおろされていた。それに、少し乱れていた。
胸元で綺麗に結ばれていたはずの赤いリボンは解かれた状態で床に落ちていた。
白いブラウスは一番下のボタン以外は留められていなかった。
開いたブラウスのまえ、そこから肌が見えた。
思い出した。
胸に、怒りがわく。
まるで炎のようだ。
熱い。
突き動かされる。
その怒りを、男たちに向ける。
彼らは不運だ。
よりにもよって自分がこんな心理状況のときに襲ってくるなんて。
実力に圧倒的な差がある。
しかも、彼らは実際に戦ってみるまでそのことに気づかなかったのだ。
もとから勝てるわけがなく、さらに建吾の機嫌が悪かった。
怒りをぶつけられる。
建吾は容赦なく拳を男の腹に打ちこんだ。
「う……ッ!」
男はうめき、後退し、地面に崩れ落ちた。
それで、七人のうち立っている者はいなくなった。
皆、苦しそうにしている。
そんな中、建吾は王者が君臨するように立っていた。
七人を見おろす。
もう、なにを言っても、向かってこないだろう。
すっかり戦意を喪失しているように見える。
建吾は地面にうずくまっている男に近づいた。
その身体に触れると、男はビクッと震えた。
男の顔をあげさせる。
おびえきった表情が、建吾のほうに向けられた。
建吾はその顔をじっと見て、言う。
「おまえたちの雇い主に、くだらない観察はやめるよう伝えておけ」
だが、おそらく彼らは使い捨てなので伝わらないだろうし、伝わったところで、やめないだろう。
しかし、それでも、言っておきたかった。
「それから、二度と俺のまえにあらわれるな」
この警告もあまり意味がなさそうだ。
言われなくても、彼らは二度と建吾のまえにはあらわれないだろうから。
男は何度もうなずいた。
作品名:天女の血 作家名:hujio