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さかきち@万恒河沙
さかきち@万恒河沙
novelistID. 1404
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【勾玉遊戯】inside

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「それにさ、その三条の妹、どうやって蔵の中に入ったのかもな。謎だよな。家族の様子からしてまず、蔵の錠がそもそも開いてたはずないからな?だろ、柚真人」
「その話、真に受けりゃあな」
「真に受けてるから怖がってんだろ。ううん、祟りかあ。凄いなあ」
「凄いか?」
「面白い」
「相変わらず不謹慎だよな、お前」
「でも――確かにおかしいよね。いまでも蔵の中から声がするって」
 飛鳥はそうそう、それよ、といって鼻の頭に皺をよせた。
 変な顔である。けれど愛嬌がある。 司は、それが可笑しくて少し笑った。
「すごい変だと思うだろ!? だってぞっとするじゃん、そんな話。飲まず食わずで七日だろ? ……気色悪いよな。閉じ込めとくのもどうかしてるけど、開けるに開けられねえよな、そりゃ。なんかこう……いけないものがでてきそうじゃねえ?」
「なんですか、いけないものって」
「だからさ。怖い物」
「不定形生物?」
「それ、司ちゃんの『怖い物』?」
 飛鳥が笑ったので、司はふん、と軽く唇を尖らせた。
「まあ……、それはともかく三条の家族は、そのこともあって怯えているんだそうだ。そりゃあ、ちょっとどころでなく不気味だろうさ。開かない蔵から何日たっても元気な女の子の声が聞こえるってのは」
「実は暖房機があった、とか」
 身を乗り出して、飛鳥が提案した。
「築ウン百年の蔵にコンセントはないぞ。勿論灯油もそんなとこにはしまわないだろう。暖房機使い様がないんじゃないか? だいたい、食事は?」
「味噌と醤油――とか?」
 茶化したように優麻が言う。
「それは、蔵にあるってことなの?」
「蔵というからにはそれぐらいあるのではないかと思いまして」
 そう言う優麻は何やらとても愉しそうで、ただ面白がって発言しているだけであることが誰の目にも明らかだった。
「だからそういう物をしまう蔵じゃないって。ほら、有り難い神様が棲んでる蔵だからな。ちなみに二階建てで、蔵自体の敷地面積は十畳ほど。扉の前には毎朝水と米なんかが備えられてたみたいだよ」
「賢いですね、柚真人君は」
「それにさっき飛鳥も言ったけど――蔵が封印されていたのなら、三条の妹はどうやってその蔵に入った?」
 柚真人は、食器を流しに置き、再び椅子に腰を下ろすと頬杖を突いて、それから斜めに優麻を見た。
「どうやって?」