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さかきち@万恒河沙
さかきち@万恒河沙
novelistID. 1404
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【勾玉遊戯】inside

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「どこかに、子供が入れるくらいの穴があるとか。古い蔵なら漆喰に穴が開いているとか有り得るでしょう」
「いいねえ、推理大会」
「推理ってほどの物でもないんだがね」 
 と、ひとり物知り顔の柚真人。
「柚真兄にしかわからないような妙な理屈じゃ、納得いかないでしょ」
「そうかもね」
「鍵をその娘が持ち出したんじゃないの? 悪戯で。小学生の、しかも中学年といったら、駄目っていわれるとかえって興味掻き立てられてしまうでしょ。得体の知れない神様なんて、有り難がらないだろうし……」
「うん。三条の祖父さんが鍵を保管しているらしいんだけどさ。祖父さんの言うことには鍵が持ち出された形跡はなし。蔵には、穴もない。出入りできるのは、正面の扉だけ。もし錠前を開けたとしても、鍵を使用せずにやったことになるな。……小学三年生の、女の子が」
「それじゃあ、やっぱりおかしいか」
「そう。だから三条も混乱して、煮詰まっちまったってわけ」
 一瞬の沈黙。
「やっぱり……またその手の話なの、柚真兄?」
「司の言う、『おれにしかわからない妙な理屈』ってやつ?」
「……じゃ、ないでしょうね?」
「さあね。どうだろう」
「いやなのよね……そういうのは嫌いだっていうのに、あたしは」
 兄を、向かいの席から睨め上げる。
「明日の放課後、三条にまた会うんだろ? 本当にあるのか、その祟りってのは?」
 飛鳥が、大きく伸びをする。
 ふむ、と弁護士が言った。
 冷めた茶を、またしてもずるずると、啜る。
 一同をくるりと見渡して  彼は穏やかに微笑んだ。といっても、それは表面上穏やかに見える微笑でしかないのだが。