【勾玉遊戯】inside
「夜遅くって、大変だね。君にもいくつか質問をさせてもらいたいんだけど、いいよね?」
「……はい。……大丈夫です」
――終わるって……こういうことだったのか、皇。
蔵にかけられた、三条家の呪いは。
――これが、終り……なのか……!?
その時、蔵の方から「白骨死体だぞ」という声が聞こえた。
祐一は顔を上げた。
蔵の中から、別の若い男が顔を出している。蔵の外で、祐一にはよくわからない作業を始めていた警察官達が、またどやどやと蔵の中に入っていった。
白いフラッシュの光が幾つも幾つも瞬く。
それが目に痛くて、祐一は目をすがめた。
眩しい。
本当に何が何だかわからない。蔵の中で、妹の他にも誰かが死んでいたらしい――。
――子供だなあ、これも。
耳鳴りを感じた。
瞼を閉じればぐるぐると世界が回っているような感覚に襲われる。
――ごめんなさい。
――こりゃあだいぶ古いぞ……。
――おーい。
どこか遠くで誰かが、叫んでいる。
――ごめんなさい。
――蔵の二階だ。鑑識、写真!
――許してくれ。
誰かが、何かに謝っている。
――すまない……。
縋るように、細く乞うている。
――ごめんなさい……。
それが誰の声か――祐一には、もうわからなかった。
――ごめんなさい……。
作品名:【勾玉遊戯】inside 作家名:さかきち@万恒河沙