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むべやまかぜを

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 「そんなもんかねえ。っていうか、綺麗な絵を描くのと綺麗な字を書くのは同じかもしれないけど、文章と絵はやっぱり違くない? まあいいけど」
 花世は曖昧に言った。医学的な話はあまり興味がないのだ。医学に興味のない少女に龍川はさらに言った。
 「丸山さん、あのさ……」
 「あ、うん、何?」
 「幾つか聞きたいことがあるんだけれど、いいだろうか?」
 どうも、ガテンの若者は話し好きなようである。いや、丸山花世という存在に興味を持っているのか。確かに、物書きヤクザは、人としてみたとき相当の珍種である。
 「いいけど。何よ?」
 「キャラの割り振りをしたときのことだけれど」
 「え? あれ、何か、気に入らんかった?」
 少女は訊ねて返した。何か相手の気に障るようなことでもしたか。
  
 ――赤毛の子が主人公ね。年齢は十五、六を想定しています。担当は龍川さんにお願いします。金髪は女王陛下とか……年齢は高めです。これは伊澤さん。黒髪のは山田さんでやってください。
 
 丸山花世はそのようにキャラの割り振りをしていた。そのことを龍川がとがめているのか。少女はそのように疑ったのだ。
 「あ、いや。気に入らないとかじゃなくて。ただ、どうしてああいう結果っていうか、ああいう割り振りになったのかなって」
 「え? うん。それは……そうだね。いろいろとみんなのことを見たりして、で、雰囲気とかを調べて。キャラって、結局は書き手の分身なわけでさ。だから、自分にない性質のものを書くことって難しい……っていうか、根本的にできないと思うんだよね、そういうの。異性のキャラを作るときにも自分に似たキャラのほうがやりやすいじゃん。伊澤のおっちゃんは、人物ができていて、包容力もある。だから、そういう慈愛に満ちたキャラを押し付けてやればいい。山田のダンナはちょっとひねたところがあって……でも、あれで案外、学とかはあるみたいだから、つっけんどんなオールドミスとか、知的で意固地なキャラを書かせるときっといいと思うんだ。で、たっつんは直情的で白黒をつけたがるタイプ。主人公タイプ。戦隊モノだったらレッドだね。だから、主人公をあてがった」
 少女は続ける。
作品名:むべやまかぜを 作家名:黄支亮