ガチサツ!!
田村は唇を噛み、悔しそうな表情をした。田村に背中を向けたまま、桜井は続けた。
「ただ…俺は加東ってやつはぶっ飛ばしてぇんだ。
今の話もあるしな、ウゼェし、それに……!!」
桜井はそれに、で止まってしまった。腕や身体に力が入っている様に見えた。田村はなんで止まったのかわからなかったが、桜井の空を見上げる後ろ姿をみると、すぐにわかった。
(…身長、バカにされたからか…)
田村は考えてみると、自分達が喧嘩を売ったときも、身長をバカにされてとてもキレていた。
田村は桜井に敢えてそれは言わなかった。というか、とてつもないコンプレックスとわかってしまうと、言うことができなかった。
桜井は振り向き、じっと目を見て言った。
「だから『組む』じゃねぇけどよ…
力、貸してくれねぇか?」
桜井の言葉に、田村は一瞬で表情を変えた。少し驚いた表情をし、それから口角を上げ、大きく口を開き、嬉しそうな表情となった。
田村が大きく頷き、桜井が少しだけ笑い、また後ろを向いて歩き出すと、それに田村も着いていった。あることをふと思い出し、田村は後ろから話しかけた。
「…そろそろオマエの名前、教えてくれよ」