ガチサツ!!
放課後
秋銅高校2年E組
さっきまで馬鹿騒ぎしていた生徒達はいなくなり、バラバラな机や椅子がただ置いてあるだけになっていた。日は沈みかけ、荒れた教室をほのかな赤色に染めている。加東に喧嘩を売りに行った時、桜井が蹴破ったドアはまだそのまま無残に床に倒れていた。それを踏み越え、桜井と田村が入った。
「…田村。校内に人が1人もいねぇのはなんでなんだ?」
「あぁ。あいつらにはチームみてぇなのがあってな、それぞれのたまり場があっから、そこに行ってんだよ」
「…チーム?」
桜井はまったく理解できていない様で、表情からもそれが読み取れた。田村はそれを察したのか、教室の黒板の落書きを消し、書き込みながら詳しく説明し始めた。
「秋銅には2つあるんだよ。それは『クラス』と『派閥』。
まずクラスというので代表的なのは加東だな。加東は自分のクラスまとめてやってんだよ。だから、自分のクラスが1つのチームってことだ。
次に、派閥。これは意味わかんねぇだろ?」
一呼吸置く様に、桜井に聞くが、「あ、あぁ」と最初の説明も理解できていないと思わせる返事をした。黒板には、『クラス』・『派閥』と書かれ、クラスから線が引っ張られ、『加東』に繋がっている。理解できていない桜井も関係無しに、田村は続けた。
「次に派閥っつーのは、1人を代表として、その下にどんどん着いていく感じだな。まぁ、わかりやすく言うと、ボスと子分だな。
大体は3年の頭に着くんだけどな。でも実力あるやつは、2年の内から派閥がありやがる。きっとお前にもその実力、あると思うけどな」