ガチサツ!!
秋銅高校前
桜井は、かつがれて2年E組から出され、枝のない桜の木が並んだ秋銅高校前の一本道にまた戻ってきた。桜井はかつがれたまま、かついでいる人を睨みつけ言った。
「テメェ田村…!!!」
桜井をかついでいるのは、金髪の田村だった。田村は周りを見渡し、誰もいない事を確認すると、桜井を降ろした。
降りた瞬間、桜井は手を伸ばし田村の胸ぐらを掴んだ。
「ふざけんじゃねぇ!!勝手になにしてくれてんだよ!?」
田村は桜井が胸ぐらを掴んでいる手を払い、「俺が行ってなかったらオマエやられてたからよ」とまるで確信しているかの様に言った。
「テメェ俺のことナメてんのか!?」
と荒々しく怒鳴り声を散らす桜井に対し、冷静に田村は答えた。
「…わりぃな。とりあえずこの話だけはさせてくれ。
加東にタイマンはねぇんだよ。タイマン受けといて、いざやるときは20人の仲間連れてきて袋叩きにする。しかも手加減はしねぇ。それでやられたやつは、 全員 もう学校には来れなくなってる。
…いくらオマエでも、無理だ」
『加東』は先程桜井がケンカを売った、2年E組のトップのことの様だ。今の話を考えると、田村が来なかったら、転校初日からもう学校には行けなくなっていたのかもしれない。
桜井はイラつきながらも、状況を把握した。自分が危なかったこと。田村に助けられたこと。
桜井は色々考えているのか、貧乏ゆすりをしながらも、黙っていた。田村は続けた。
「…やられたやつ。俺のダチだったんだよ」