ガチサツ!!
「ちょ、ちょい待て!!」
秋銅高校内の玄関に入った桜井に、さっき一緒にいた2人は置き去りにしてきた金髪が話しかけた。桜井は振り向き、(少し見上げて)金髪の顔を見て「なんだよ」と言いながら校舎内に歩き出した。
「あー、オマエさ…名前なんつーの?」
「…人に名前を聞く時は先に自分から名乗るもんだろ?」
意外と世間一般の常識はあるんだな、と少し関心しながら名乗った。
「田村由伸。よろしくな」
「…あ?……なんで『よろしく』だよ?」
足を止めた。そのまま、田村の顔をじっと睨みつけた。
「え?…いや、お前強ぇから…」
「俺が強ぇから組もう。か?」
「あ…」
田村の表情が変わった。図星だったのだ。まるで、頭の中を読まれたのではないか、と思うほどぴったり的中していた様だ。桜井は続けて
「悪いけど、俺は1人で充分なんだよ。」
と一言で断ると、玄関を土足で上がっていき、また歩き出した。田村はもう一度追っていこうとしたが、もう聞く耳持たないだろうと察してか、もう追ってはこなかった。