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CROSS 第8話 『758革命』

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「いてて……」

 警察官の1人が机の下から這い上がる。彼は軽傷ですんだようで、本人もそのことに、とりあえずはほっとしているようだ。運が良かったのか、タンクローリーは爆発していなかった。
 ……しかし、彼は突っこんできたタンクローリーのタンク部分に取り付けられている物を見て、一瞬で血の気を失った……。

   ドォォォーーーン!!!

 ハリウッド映画ではよくあるタイプの大爆発が起きた……。ロビーは、瞬く間に火の海となり、爆風による振動で警視庁庁舎全体が揺れた……。



 そのころ、警視庁庁舎内に潜入した佐世保は、警察官に変装して、ごったがえしている通信指令センターに入ってきた。彼女は、ポケットからタバコの箱を取り出すと、ゴミ箱にポトンと捨てた……。
「おい!!! 何サボってんだ!!! 早く下の応援に行け!!!」
通信指令センターを歩いていた佐世保に、主任が怒鳴った。彼女は突然の怒声に驚いたが、
「……はい、わかりました」
それだけ返事をすると、通信指令センターから飛び出していく。飛び出た途端、彼女はニヤリとし始めた……。
 通信指令センターを飛び出した佐世保は、トイレの個室に飛びこんだ。そして、彼女はポケットの中の小さなスイッチを押した……。

 佐世保がスイッチを押した瞬間、佐世保がゴミ箱に捨てたタバコの箱が爆発した。その爆発は、通信指令センターをこっぱみじんにする……。当然だが、そこでまだ働いていた人々も、その爆発に巻きこまれた……。
 あのタバコの箱の中には、リモート起爆式の爆弾が入っていたのだ……。



 自衛隊の対空ミサイル『パトリオット』が、4発のミサイルをCROSS艦に向けて発射した。そのパトリオットが配備されている場所にも、CROSSが攻撃をくわえており、その混乱の中での発射となった。しかし、パトリオットミサイルは、見事4発全部が命中した。現場の自衛官たちの顔に喜びの表情が浮かんだが、すぐに元の緊張した表情に戻ることとなった……。
 ミサイルは、特務艦の周りに張り巡らされているシールドに当たっただけで、艦自体へのダメージは皆無だったのだ……。

「自衛隊のパトリオットミサイル4発が、本艦のシールドに命中。シールドパワーが92%にダウンしましたが、回復中です」
ヘーゲルが、目の前の端末を素早く操作しながら山口に報告した。
「税金が無駄になるだけなのにな」
山口はまだブランデーを飲んでいた。
「ただちに、うちの隊員をパトリオットがある場所から離れさせろ! 艦砲の性能を試してみようじゃないか!」
山口は、ニヤリと不気味な笑みを浮かべていた……。



「CROSSの連中が逃げていきます!」
物陰に伏せている自衛官が、自動小銃を構えながら、すぐ隣りにいる上官に告げる。CROSS隊員たちが、大急ぎで後退していくのが見えた。
「嫌な予感がするな……」
上官は不安そうに、空に浮かぶCROSSの特務艦を見る。特務艦の先は、パトリオットミサイルのほうを向いており、その上官の目に艦砲の発射口が開くのが見えた……。
 彼の嫌な予感は的中したようだ……。
「逃げろ!!!」

   ドゴゴゴーーーン!!!!!!!!!

 上官が叫んだ瞬間、パトリオットが配備されている陣地が艦砲によりぶっ飛ばされた……。陣地一帯が激しい炎に包まれ、その陣地の上空に小さなキノコ雲が浮かび上がっていく……。