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山行記

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5月4日 はれのち曇



<天狗尾根・天狗の鼻往復>
 2時ごろ濡れたシュラフに潜り足を抱えて寝るが、寒さに震えて眠れたものじゃない。早々に食事にとりかかった。
 7時ごろ野沢・杉田・伊藤が戻ってきた。奥壁2本目に取り付いている時、岩雪崩に遭ってザイルは切断、岩が顔にあたったという。もう下山するという。奥西・吉永・秋山も天候が悪いから下山するという。竹田は彼らを引きとめるがむなしく、結局我ら4人のみ残ることとなった。
 剣からの継続登攀を行っている高見・小笠原・岩田らが、予定では今夕ここへ着くことになっているのだ。
 9時頃彼らは下山した。

 16時頃ここへ戻って雪洞を修復しなければならないということで、短いルート1本登る予定で、天狗尾根目指して出かけた。しかし、昨日の疲れに加えて、眠っていないことが行動を鈍らせている。昨日通った所でもバランスが不安定でよろけてしまい、昨夜以上に慎重に歩かなければならないぐらいなのだ。
 荒沢ノ頭で小休止。
 北壁主稜に残した跡がよく見える。昨日の苦しかった登攀を思い返しながら各ピッチを追いかけ、ピッチ数を数えると、なんと21ピッチ。高度差は400mにも及ぶ。誇らしく思えた。
 天狗ノ鼻へ到るコルでもう13時になっている。時間切れ。ここから引き返すことにした。
 いつの間にか雲が垂れこめ雪が降り始めている。稜線に出ると風が強い。毛は白くなる。午前中の陽光で濡れたものは乾かしていたのでよかった。

 BCに着いたのは16時過ぎ、誰もいない。温かい飲み物を幾種類か飲んでから雪洞の修復に取りかかった。4人用の小さいねぐらでいいのだ。
好きな風にデザインされた、凝った入口を持つねぐらが完成したのは19時に近かった。
 久々にみる月と星にヘッドランプのいらない明るい夜だった。
 風は冷たいけれど。

 起 床      4:00 |BC着 16:30 
 BC発     10:30 |就 寝 22:00
 天狗ノ鼻のコル 13:30 |
        〜14:00 |



5月5日 はれのち雨 強風

<下山>
 東尾根経由北俣本谷下降。

     起 床  4:00 |大谷原  11:30
     BC発  7:00 |
            
作品名:山行記 作家名:健忘真実