小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

先生の特別

INDEX|7ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 



「美咲ぃ―! 最近、なんか幸せそうだねぇ」


「うん! 幸せ!」


「なにそれー! 自分ばっかりぃ…」


親友のマオが騒ぐ。


「マオ…あのさ、わたし…」
マオには、言わなきゃって思った。




「私…高橋先生と…付きあってるんだ」


「…」


口を開け、驚いた顔。

まぁ、そうだよね。



「美咲…やるじゃん! やっぱあんたはすごいよ!」


意外な答え。
先生はやめなよ、って言わないんだ。


「ありがと! やっぱ、マオに話してよかった!」


「うん。先生だって関係ないもんね。好きって気持ちは偉大だ!」


「ははは!」


やっぱ、親友は分かってる。
でも、
マオの顔は少し、悲しそうだった。



「マオ…田中君となんか会った?」



そう聞くと、マオの頬に涙が伝った。


「はは…。やっぱり美咲はすごいな…。わたし…どうすればいいか分かんない」


うずくまるマオ。


田中翔太君…。
マオの彼氏。
野球部のエースで、いつもにこやかな笑顔が印象的だ。


決して、マオを傷つけるような人じゃない。

それは、マオが一番知っているはずだ。


でも、

その田中君がどうして…。


「こないだ、一緒に帰ろうと思って…校門のところで待ってたんだ…」

********

マオは、校門のところで田中君を待っていた。

2人で一緒に帰ろうと思って、遅くまで待っていたらしい。

そして、田中君の声がした。



「しょう…!!」



マオが名前を言いかけ、言葉をのんだ。

マオの目に映ったのは…




田中君と、野球部の女子マネージャーが楽しく歩いているところ______。




私の、大好きな彼氏。

私の大事な彼氏。

となりに居るのは誰…?

どんどんと近づいてくる二人。

マオは、怖くなって逃げたらしい。

*********



「もう、ヤダ…。こんなに信じてたのに…」



声の震えるマオは、すごく辛そうだった。


田中君…何やってんの!!


私は、許せない気持ちでいっぱいだった。



マオの気持ち…考えてよ?

無責任すぎる。

私は、泣いているマオのことを考え、次の授業はサボることにした。

教室を抜け出し、向ったのは…

先生の居る、誰にも使われていない用具室へ_________



<改ページ>


私は先生の居る場所へ、走った。


マオの手を引き、走った。


ガチャッ!!


「日野?」



「先生!」

先生は驚いた顔をしている。


「…お前、授業は?」

「サボった!」


「自慢げに言うな!」



そう言って笑いあった。

でも、

先生はマオのほうを気にする。



「先生…今はここに居てもいい?」


「おう…いいんだが…」

チラッと、マオのほうを見る先生。

「相談にも乗ってほしい!」

「おう。任せろ!」

親指を立て、私たちの前に座る。



「どうした? 瀬川がそんなに悩んで…」


「どうしたらいいのか…分かんないの」


マオはすべて話した。

わたしに話した時のように、全部___

先生はぜんぶ聞いた後、こう言った。



「嫉妬…だな?」


「うん。こんな自分が…すんごく嫌。でも、嫉妬のほうが大きくなってる…」


うつ向き気味に話すマオ…。

先生は、すごい。

こいうときは、教師みたい。

生徒の心は、いつでもわかるんだ。

やっぱり凄いよ、先生。


「瀬川…もう一回、田中と話してみ? そのほうが、一番解決する」


「聞くの…怖いよ。ホントに…そうだったら…。」


涙があふれるマオ。

傍で見てる私も辛くなった。

でも…



「お前ら…あんなに仲良かったじゃん。出来る、瀬川なら。」


「そうだよ! もしダメでも、マオにはもっといい人がいる。」


ポンっと、マオの背中を叩く。


「そう…だよね。そうする! 話してみるよ!」


マオはそう言い、立ち上がる。


「先生、ありがと。元気になった!」


私たちは先生の居た用具室を出た。

また、走り出す___


作品名:先生の特別 作家名:よしの