あなた=?
「愛」
大声で言ったシレーヌは乱れた呼吸を落ち着かせる。
レグルスは言葉が詰まり、目を見開いた。
「無理って言っただろ? お前には、私の感情を受け取ってくれないだろ?」
シレーヌはゆっくりと夜空を見上げると笑い始めた。
「俺だって……好きになった人には幸せになって欲しい。いや、まず死んで欲しくないんだ。シレーヌ」
レグルスの凜とした声にシレーヌは笑うことをやめて視線をレグルスに向ける。
「何を言っているんだ?」
「……俺は、お前が好きだ」
「上辺だけじゃあダメなんだよ!」
「上辺だけじゃあないんだよ!」
シレーヌの言葉にレグルスはすぐに反論の言葉を言う。そしてレグルスは海に浸かって座っているシレーヌに近づき、しゃがみ込んだ。
「もし、俺を幸せにしたいなら生きて欲しい。俺はシレーヌが幸せになって欲しいから」
レグルスはゆっくりとシレーヌを抱きしめた。
「私は……人魚だ」
「認める。人魚だからシレーヌなんだ」
シレーヌは再び泣き始めた。
「お前、昔俺に言っただろ。簡単になくなって」
レグルスはシレーヌの背中を軽く叩き始めた。
「シレーヌ。俺はお前を死なさない。俺はお前が愛しているから」
「……私も、大好きだ」
シレーヌはゆっくりと目を閉じた。
「私は死なない。レグルスと一緒にいたいから」