あなた=?
「Finish start」
「では、これによって反逆者の処分の話は終わりにします」
「……みんなお疲れ様です。長い話になってしまいすみません」
謁見の間の王座の前に立っているレグルスは微笑んだ。
「いえ、こちらも仕事ですから。それよりも王子、早く行った方がいいのでは?」
微笑んでいたレグルスの表情は次第に引きつった笑顔に変わった。
「そ、そうですね。そうさせて貰います」
庭にいるシレーヌは空を見ながらも風でなびいている髪を押さえていた。
「そろそろレグルスの方も終わるな……」
シレーヌは視線をいつも通りに戻すとゆっくりと歩き始めた。
「シレーヌ!」
「あっ……!」
いきなりの少年の声にシレーヌは驚き、何も無いところで躓いた。
「――大丈夫か」
「……たぶんな。ありがとう、レグルス」
少年、レグルスは溜め息をついた。
「それで、医者は何と言っていたか覚えているか?」
「完治するまで出来るだけ動くな、だろ。別に出来るだけだからいいだろ」
「そう言う問題じゃあないだろ」
レグルスはシレーヌをしっかり立たせた。
「部屋戻るぞ」
「……もう少しだけ庭にいたらダメか」
「ダメだ」
レグルスはシレーヌの腕を取るとゆっくり歩き始めた。
シレーヌは溜め息をつきながらもレグルスに引かれるまま歩いていた。
「まだ、足が完全に治ってないのに歩いてんだ。気をつけて歩けよ」
「あぁ……」
気が抜けたようなシレーヌの返事を聞くとレグルスは足を止めた。
「何か不満でもあるのか?」
レグルスは振り返りシレーヌを見た。
「いや、別に」
レグルスは深い溜め息をつくと何かを思いついた表情をした。
「――なっ!」
「だいぶ楽だな。背負うと……」
レグルスに背負われているシレーヌは今にも殴りそうな手を押さえていた。
「これで、部屋まで戻るからな。殴るなよ」
「わ、わかっている」
レグルスは城の扉を開けると中に入り、階段を上り始めた。
「シレーヌ」
「……何だ?」
シレーヌは落ち着きを取り戻したようでレグルスを見た。
「足が完治したら、だけど……どっか行くか?」
「いいのか!」
レグルスは頷いた。
「まぁ、完治したらだがな……」