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あなた=?

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「誰愛す?」


シレーヌは星が輝く空を見ながらも両手を胸の前で重ねた。
「人魚だと自分が最も愛した者にばらし、そして自分の気持ちを受け取ってくれること。もし人魚だと受け取ってくれなかったり、好きだという気持ちを受け取ってくれなかったりした場合……」
シレーヌは小さい声で続ける。
「私達人魚は泡になり、死ぬ。そのタイムリミットは3時間。それで多くの人魚が亡くなった。私の母は、人魚だと受け止めて貰えず死んだ。他にもタイムリミットはある。海水に浸かれば、中途半端な魔女の魔法は解け、人魚の姿に戻る。四分の一しか人魚の血が流れてなくても今の私にも適用され、魔法が解けまいと必死に抵抗するせいで立てない。まぁ、タイムリミットが近づいた私には関係がないがな」
「タイムリミットがなくなる方法は……」
シレーヌはゆっくりと手を下ろし、視線をレグルスに向けた。
「さっきも言っただろ。私の感情を受け止めてくれ、人魚だと認めてくれる人がいればいい」
「俺が出来ることはないのか?」
「無理だ……」
「何かあるだろ!」
シレーヌは下唇を強く噛むと同時に強く握った手が震え始めた。
「無理なんだよ! 私が望んでも、お前は……お前は」
シレーヌはその場に座り込み、顔を手で隠した。
「私は! その人に幸せになって貰いたいんだよ! 私なんかじゃあダメなんだよ! 私なんかじゃあ!」
「そいつに言ってみればいいだろ! お前にそいつの幸せがわかるのかよ!」
叫ぶように言ったレグルスの声が止まるとシレーヌの小さな嗚咽が聞こえて来た。
「だったら! だったらレグルス! 私と共にいてうれしいのか! 私より好きな人がいるんだろ!」
「俺は好きな人と一緒になれればうれしいんだよ! お前が言う奴だってそうだろ!」
シレーヌはゆっくりと呼吸を落ち着けながらも顔に当てていた手を外した。
「私は! 私は、お前に幸せになって貰いたいんだよ! 結局人魚がたどる道なんて同じなんだよ!」


作品名:あなた=? 作家名:古月 零沙