あなた=?
「別れ一刻、と
シレーヌはゆっくりと目を閉じた。
レグルスは反対に目を見開いた。
「どういう……ことだ」
シレーヌはゆっくりと目を開いたが大臣を見ようとはしなかった。
「兵士達、先に城に戻り……その者を牢に閉じ込めておきなさい」
シレーヌは小さな声でそう言うと兵士達はゆっくりと動き出した。
「……人魚ってなんだよ。お前は、いったい」
どんどん遠ざかり、大臣達が消えるとシレーヌは動き出した。
「どこに行くんだ! 俺は……」
大臣達とは反対の方向に歩き始めたシレーヌはレグルスに背を見せたまま立ち止まった。
「タイムリミットは3時間。今から3時間までに屋敷の近くの海に来てくれ。まぁ、来るのは自由だ。落ち着いて、考えればいい。レグルス……」
シレーヌは平原を歩き始めた。
お祖母様、ごめんなさい。
無理言って貸してくれた銀色の王家の紋章の権限を使ってごめんなさい。
お母様と同じ道を進んでしまうかもしれないことにもごめんなさい。
こんな孫でも大切にしてくれてありがとう、そしてごめんなさい。
でも悔いはないよ。これが私の道だと信じているから。
そして最後に、最後の3時間に彼が来てくれるだけでいいんだ。それ以上の事は望まない。助けてくれとは思わない。来てくれるだけで良い。来てくれるだけで……。いいんだ。お祖母様。
――本当にありがとう、ごめんなさい。