あなた=?
誰の為?」
「……我が一族の名の下に大臣、あなたを裁かせて貰う!」
シレーヌはポケットから出した手を前に着きだした。その手には銀色の王家の紋章があった。
「兵士達、大臣を連れて行け! 命令だ!」
今の事態がわかっていない兵士達は戸惑いの色を見せていたがシレーヌの一括で兵士達は平常心を取り戻し、大臣に近づいた。
「……これで終わりだ。レグルス」
呆気ない最後、そして何が起こっているのかついて行けないレグルスは呆然としていた。
シレーヌは銀色の王家の紋章を持っている手をゆっくりと下ろした。
「ま、待て! シレーヌとか言ったな。お前、まさか――」
視線を下に向けていたシレーヌはゆっくりと顔を上げると大臣を見た。
「――兵士達待ってくれ。少し聞きたいことがある」
大臣の言葉を遮ったのはシレーヌではなくレグルスだった。
「最後に一つ聞きたい。祖父が最も愛した人って言うのは誰なんだ」
レグルスの言葉にシレーヌは銀色の王家の紋章を握る力を強めた。
そして問われた大臣は笑みを見せた。
「レグルス王子。あなたはそこの女から聞いていないんですね」
レグルスは前にいるシレーヌを見たがシレーヌは口を開く気配がない。
「道連れにしてやるよ――」
大臣は叫ぶように続けた。
「人魚ですよ! なぁ……シレーヌ、いや
人魚の成れの果てさんよ!」