あなた=?
「その力、
「最後の悪あがきをさせてもらうぞ! 大臣!」
凛とした声を出したシレーヌは馬の上から飛び降りるとレグルスの隣に立った。
「――ぇ! お前、立てないんじゃあ!」
「……そのことは後で、な」
怒っているレグルスに小声で言いながらもシレーヌは前に出た。
「大臣、あなたは先代の王、つまりレグルスの祖父に仕えていましたね?」
「……兵士、一度止まれ」
大臣の声でシレーヌ達の前まで来ていた兵士達は止まると大臣はその兵士達の前に出て来た。
「何が言いたい?」
「仕えていたんですね。ならば話を進めます。あなたは先代の王に人魚姫の話を聞いていた。そして先代が人魚姫と出会った嵐が起こった日を知っている」
大臣は何も言わない。
「それからその嵐が起こった日には毎年嵐が来るようになった。まぁ、それが人魚姫の呪いかは知らないけど」
「その嵐が来る日ってのは……」
「レグルスが海に落ちた日」
レグルスの問いにシレーヌはレグルスを見ずに答えるとそのまま話を続ける。
「大臣、あなたの目論見通りレグルスは海に落ちて行方不明。王は病で伏せている。そしてあなたは絶好のチャンスを手に入れたわけだ」
シレーヌは大臣に笑みを見せた。
「違うか?」
首を傾げるシレーヌを見た瞬間、大臣は苦虫をつぶしたかのような顔をした。
「……お、お前。まさか――」
「――大臣、私の話は終わっていない」
震える大臣の言葉を遮ったシレーヌは続ける。
「レグルス。先代の王が新たな法を付け加えたことは知っているか?」
「まぁ、一応な。だが祖父があんな法を作るなんて……」
レグルスは少し戸惑いを見せたがすぐに口を開いた。
「確か、遺書だったな。自分が最も愛した人の一族に緊急時のみ、王よりも強い権限を与える。その者達に銀色の王家の紋章を与える。とかそんな感じだな」
「まさに今がその緊急時じゃあ、ないか?」
シレーヌは水色の服についているポケットに手を入れた。