あなた=?
「二人三脚」
シレーヌとレグルスは同時に体の向きを出入り口に向けると走り始めた。
「――何をぼさっとしている早く捕まえろ!」
大臣が兵士に命令をする声を聞きながらもレグルスは謁見の間の扉を蹴破った。
「……帰ったらひとまずあの扉、直さねぇとな」
「結構あの扉、でかいから金かかるぞ」
城の廊下を走りながらもレグルスは再び扉を開けた。
「ここは二階だな。逃げていたから場所の感覚が無かったからな」
レグルスは扉から真っ直ぐ歩き、吹き抜けになっている所から下の階、一階を見た。
「――いたぞ!」
「っ!」
シレーヌとレグルスが通ってきた扉、そして左右から見える兵士達を見た。
「……万事休す。どうするレグルス?」
シレーヌは眉をひそめながらもレグルスに問うとレグルスは顎に手を当て、何かを考えていた。
「シレーヌ。間違っても殴るなよ」
「は?」
レグルスは口を開けたまま閉じないでいるシレーヌに近づいた。
「じゃあ、殴るなよ。怒るなよ。……せぇの」
レグルスはかけ声とともに自分の腕でシレーヌの背中と膝裏を支え、抱き上げた。
「じゃあ、掴まっていろよ」
「……ちょっと待てぇ!」
レグルスはシレーヌを抱えたまま手すりに足を掛けた。
「待て! なんでお姫様抱っこだ?」
「うるさい……まぁ、簡単に言えば降りるから」
レグルスはシレーヌを抱えながらも手すりを蹴った。
「……足痛い」
「……お、降ろせ」
今までレグルスの首にしがみついていたシレーヌだが一階に着きしゃがみ込んでいるレグルスに言った。
「そんなこと言わんでも降ろす。重いから」
「最後が余計だ!」
レグルスはシレーヌを抱えたままシレーヌの拳を避けた。そしてすぐにシレーヌを降ろす。
「逃げるぞ」
レグルスの言葉にシレーヌは舌打ちをしながらも走り始めた