ジェスカ ラ フィン
ついたシールドを張って、白鼻心は貫通して、死んだ。シールドを構えて、砂
漠の中を進んだ。
夕日が西の砂原に沈む頃になると、「ジグラの教会」が見えた。砂漠の波に
沈むことなく、地平線が見渡せる場所に立っていた。「ジグラの教会」の扉を
開けると、サイドカーの付いたバイクが藁に被さってあった。樽の中に水もあ
り、たらふく飲んで、干し肉等パンを齧って食べて、チーズをソンハと分けて
食べた。末当に食料を積んだ木箱の上に、継ぎ接ぎした服があって、ドラム缶
の下に薪を入れて、樽の水を入れて、お湯を沸かした。体を洗って、髭を剃っ
て、爪を切って、髪の毛をロープで縛って、バイクのエンジンを入れた。
「用意はいいかい?」
清潔になった僕は清潔になったソンハに聞いた。ソフサラコマの遺体と、パ
パロメのぼろ布は、サイドカーのソンハの足元に置いた。
「えぇ、もちろんですよ!!」
ソンハは言った。麻袋に必要な食料と水を入れて、フルエンジンでジグラの
教会を出た。時速180kmで、「パパロメの間欠泉」へ出た。砂丘から吹き
飛んで、奴隷達の群れを割って入った。
「エクアクス達だ!!」
ダズバグルフ盗賊団の下っ端達が迫って来た。後ろ髪がたなびく僕。バック
ミラーを見て、複雑な様々な感.と多くの念を合わせて、指をその隙間に嵌め
込んで、グッ!! と腕をクロスした!! 無重力になって、僕のクロスした
腕の赴くままに、ダズバグルフ盗賊団の下っ端達が各々反対側になって、大爆
発して、上空に吹き飛んだ。次に近付いて来た奴らにも、同様のことがなされ
た。ソフサラコマの遺体がバイクの振動に合わせて微かに揺れていた。僕はス
ピードを上げた。
2日間走りっぱなしで、ガソリンを数回入れて、「バラダラマスの町」に着
いたのは昼のことだった。僕の登場に、心の悪い奴隷や1般市民達は震え上が
った。僕達は彼等を無視して、バイクを「バラダラマスの町」の中へ走らせ、
奴隷ショーを行っている奴等をぼこぼこにして、中止させた。そして「バラダ
ラマスの町」から奴隷はいなくなり、ダズバクルフ教の信者はいなくなった。
「パパロメの巡礼」を廻っている教徒達は後からだ。僕達は、「ウィンクムス
山」の前に聳える、巨大な「ライファモンの神殿」へ上がることにした。「ラ
イファモン神殿」の支柱は折れて倒れていた。「テンパモンの崖」の後ろにあ
る、「ライファモンの神殿」は、しばらく見ないうちに所々に皹が入っていた。
「パチャラグルの流転」の影響か。「ライファモンの神殿で」働いている奴隷
達が暴動を起こしていた。石や作業道具を投げ、柱を折ったりしていた。
「エクアクスさん、上で暴動が起こっていますよ!! さぁ、行きましょ
う!!」
ソンハは叫んで、僕達は「テンパモンの崖」をバイクで上がった。30分後
に「ライファモンの神殿」の前に着くと、
「静かにしろ!!」
と僕は怒鳴って暴動を止めた。僕達は、バイクから降りて、「ライファモン
の神殿」の中へ入った。
所々に、奴隷達が描いた、壁画があった。油絵で、描きかけの部分もあった。
天井絵画が最高峰で、1発でソフサラコマが描いたと思われる絵が広がってい
た。僕が中心にいて、人々に包まれていた。古代天上世界の神話の聖典からの
イマージュらしい。僕は、男らしかった。涙が1筋流れた。僕は、「フェダリ
ダダマスの水瓶」が、この下にあると思い、土を掘った。暫くして、ソフサラ
コマが作ったとされる、「フェダリダダマスの水瓶」を発見した。麻の布で包
んで、ソンハは背中に背負った。僕達は、絵画の続く、迷路を歩き続けた。
半日経って、やっと奥の祭壇に着いた。「シュレクトムの祭壇」とは違うよ
うだった。もっと奥にあるのか。祭壇には、豪華に装飾されたケースの上に、
「ゴペルチンジャーの銀の眼冑」があった。ソンハの話では、「ゴペルチンジ
ャーの銀の眼冑」は兜のような物で、頭に嵌めると、アフマンドの染みのつい
た右目の部分が装飾に隠れるらしい。スコープみたいなものがついていて、動
かすと、天体望遠鏡みたいなものが見えるという。内側から、空を見て、びっ
くりした。宇宙が透けて見えたからだ。生きているように流れ星が流れる。僕
達は「ゴペルチンジャーの銀の眼冑」を手に入れた。
僕達はまた半日をかけて、「ライファモンの神殿」を出た。外に出てみると、
夜になっていた。奴隷達はいなかった。星が出ていた。月とホメネカは、「バ
ーギャリアンの宇宙」に居るのだろう。突然流星が各地に降り注いで来た!!
「何だ?! やっぱり、ホメネカの仕業なのか!!」
僕は叫んで、急いでバイクに飛び乗った。
「エクアクスさん!! 『ゴペルチンジャーの銀の眼冑』と、『フェダリダダ
マスの水瓶』は、もう手に入れました!! 次は、『テンペライモンドの神殿』
に行って、『文明国スワンダ』への光の道を作り出しましょう!!」
ソンハは言った。僕達は「バラダラマスの町」で、食料を補充して、2日間
走った。
砂漠の彼方に、「テンペライモンドの神殿」があった。「ヘーミッド」の崖
が近くにあって、波が宇宙に押し寄せていて、近づく前から砂の叩き落ちる音
が聞こえてきた。1日どのくらいの量の砂が落ちているのか、ソンハに訊いて
みた。
「天文の勉強を、旅をしながらしていました。約、2.986×10の21乗
トンです。月は、昔3つあったようです。重力ジョイントは、『デンダララン』
の中点を中心にして、『デンダララン』の中点に向う『引力』と、『デンダラ
ラン』の『スペランザ維管束道』の『ゾッドメラー砂道』から垂直に遠ざかろ
うとする『遠心力』の合力を、あと1つの感.と念とで合わせた、物理ジョイ
ントの1種です」
そうソンハは言った。
「僕は知らず知らずのうちに使ってしまっていたよ。『デンダララン』が壊れ
ると、『重力』は使えなくなるのかい?」
「えぇ。多分そうだと思います」
ソンハは言った。
「テンペライモンドの神殿」は、流れる砂の中にあった。5月蝿過ぎて、何を
話してもジェスチャーしても聞こえないので、ジョイントで耳を塞いで、バイ
クをゆっくり走らせた。さすがに此処までダズバグルフ盗賊団も追っては来な
いようだった。「テンペライモンドの神殿」の、段差の所にバイクを止めて、
ただ1つしか無い入り口の中へも、入っていく砂は、暗い内部の闇に溶けてい
った。僕達はバイクを降りて神殿の中へ入った。内部は、1階が砂の海になっ
ていて、一度、向こうの壁まで流されてしまった。僕達は素早く階段を上がっ
た。最上階に、石畳の部屋があった。僕とソンハは、息を飲んだ。
「ここが、天上世界への『トンパクの祭壇』です。太陽が出ています。『ゴペ
ルチンジャーの銀の眼冑』を嵌めて横になり、天井の天蓋に影を合わせて下さ
い。太古の『ダワ記』の模様が浮かび上がり、『文明国スワンダ』への光が開
かれるでしょう」
ソンハは「ゴペルチンジャーの銀の眼冑」を麻から取り出し僕に渡した。僕
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史