小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ジェスカ ラ フィン

INDEX|76ページ/114ページ|

次のページ前のページ
 

ピオンは、手綱を握っていた。車の中の電灯を消して、僕達は毛布を掛けて眠
りについた。

翌日も、外で食事を取って、駱駝車は走り続けた。夜に、月の信号機が青に
なって、サーカス団が目の前を走って行った。

「トメロスは1人でテントを運んでいるのに」

僕は言った。



3日目の朝に「農業国へーメルカル」に着いた。天候は.が降っていて、電
光掲示板では

「300日ぶりの.」

と出ていた。車の流れが多かった。ほとんどが、食物を運ぶ運搬車だった。
.で駱駝車のガラスが濡れた。

「じゃあ此処まででですね。気を付けて旅を続けて下さい。私は、近くの街に
寄って、食料を補充して、『金融経済国ヘンザウロ』に帰るつもりです。では、
さようなら!!」

ゼピオンは駱駝を鞭で打って、帰って行った。何処かへの高速道路が、横に
走っていて、気が付くといつの間にか.は上がっていた。

「…ファンタロ爺さんは、『クランダ人形屋』のツーチョム、っていう雪達磨
の爺さんが、人形を一体連れて来たら、店にいれてくれる、って言ってたよね。
国中を探して、人形を探しに行こう。墓場に埋まっているものや、迷子になっ
ている人形もいるかもしれない。とにかく、そのクランダ人形屋を探さないと」

「砂漠で迷子になっている人形もいるかもしれないしね」

僕とソフサラコマはそう話し合って決めた。

「人形は何を食べて生きているんだろう。生の野菜とか言わないよな」

国の至る所で人形が歩いていた。古着のシャツとズボン、皮の尖がった靴を
履いたテンプルという人形に話し掛けてみた。


「『地底世界ソロンペパール』にある『ジャンガズガンズの森』には、猿が住
んでいるんだよ。そこでは、森の岩を掘って、ジャンガズガンズの脳の癌を取
り除こうとしているらしい。悪いハートグラスのJKなのに、.援するなんて、
変だよね。『ソンパラメードの森』って、ホメネカが振り子しにて、振ってい
る森だよね。其処にはジャンガズガンズが眠っているんじゃなくて、ジャンガ
ズガンズの鎧が隠されているんだ。その鎧は、『テドゾファンドムの砦』で、
パチャラグルの流転が3回起こった時に、ジャンガズガンズが復活するという
伝説なんだけど。なんでも、伝説の巨大機兵、セネアトレクの心臓は、『ソン
パラメードの森』に隠されているという噂だよ」

隣にいたシャナーゼという照る照る坊主は、

「『テドゾファンドムの砦』は、『フェザ山脈』と『テイトート山脈』の狭間
にある、『ダラゼファダヤの荒野』にある。『レーピオンドの町』は、雪像造
りで有名な町だよ。『クランダの人形屋』の、ツーチョムという爺さんは、レ
ーピオンドの町の出身なんだ」

と言った。

招き猫のミリは、

「鹿とか動物はね、剥製になって永遠に生きられるんだ。だから『農業国ヘー
メルカル』でずっと農業をしているし、外に出ても凍死したりしないんだ。ミ
レンドファンテの牛達も、ダズバクルフ教に入ったりしたのは、きっと、永遠
の命を懇願したからだと思うな。自らの体の染みを寄付して、空を真っ暗にし
ようとしている。もう1枚の宇宙を『ヘーミッド』の空に張ろうとしているん
だ。そうすれば、サーカスで有名なトメロス達も、星のストレスを発散する為
の散歩の仕事ができなくなるし、月のホメネカにそそのかされて、流星となっ
て隕石となって、『ヘーミッド』やこの『ダイラコダラム』の世界を壊すかも
しれない。太陽の力だけでは作物は育たない。星の光を浴びて、この世界の食
べ物は成長する。太陽だけでは栄養分を持たなくなる。ホメネカは、星達を勧
誘しているんだ」

と泣きながら言った。



農村の方へ歩くと、案山子が田の水温を計って、立っていた。

「ワシ等ももう、ミレンドファンテ族の牛達と、『ビニファドの砦』の『農業
国ヘーメルカル』のエメコラーナ反乱軍の野蛮族の取り締まりで、もう大変で
すわ。人形族が農村や家や畑を捨てて、ここから.東の『ビニファドの砦』を
拠点にして、『農業国ヘーメルカル』や各地で盗みを働いているそうです。な
んでも、盗賊団の端くれになったとかならないとか。武器を持って、農村や


『農業国ヘーメルカル』にいる子供や女性達を狙うんです。人間達にも協力し
て解決してるんですが、被害は大きくなるばかりです」

案山子のリャンタは言った。犬の赤い張子が、僕達に向って吠えていた。縫
い包みの熊のレッラムは鍬を持って、こう言った。

「西には大きな湖の集合体である、『ダマイ湖』があります。『ダマイ湖』で
は、既に遊牧のミレンドファンテの牛も合わせて、10万匹は集まっていると
思います。ハゲタカに乗って、狐の盗賊団が鞭を持って、牛達を脅しています。
僕達ももう.ししたらミレンドファンテの牛達を救う為に、『ダマイ湖』に、
行かなければなりません。『ダマイ湖』の遥か西に、北に流れる『タイダグ川』
の入り口の付近に生えている、『サンガズの草原』があります。『カヴァムテ
デサの洞窟』の入り口が、その草原の何処かにあるといいます。それを知って
いるのは、ケッティのハンサメで、道案内をしてくれるのは、もう1匹の、レ
オポンである、チンギューガです」

ヘーメルカルのゴミ処理場に着いた。烏の、悪いハゲタカの手下達が、巡回
していた。きっと人形達が人間にどのくらい捨てられたか調査するためだろう
と思った。雪兎達がゴミ処理場で働いていた。

「人形達と人間達は共存して暮らしていますが、中には、人間に捨てられて、
命を落としてしまった人形達もいるのです」

小芥子が採れ立ての蜜柑を食べていた。

「人形達は、人間の墓地に葬られて、眠った後、『クランダの人形屋』の、ツ
ーチョムの爺さんのところまで行きます。途中で、優しい人間に飼われる者も
いれば、飼われない者もいます。大抵は、クランダの店屋に行って、もう一度
店に並びます。しかし、.数の者は、犬に噛まれて、死んでしまいます」

雪兎のレマスは言った。

「ツーチョムの雪達磨の爺さんは人形達にもう一度チャンスをあげます。『い
いかよく聞け。お前達は人形だ。もう2度と墓場なんかに行くな』と。ツーチ
ョム爺さんは傷口を縫い、完璧に直して、店に並ばせます。元気のある者は、
街頭で自分達のパフォーマンスショーなどの.伝をします。人形達は、ほとん
どが、世界中から、『農業国へーメルカル』へやって来た者ばかりです。浮浪
者や、乞食などです。ツーチョム爺さんが作った人形などを贔屓して、妬む者
もいます。しかし、爺さんは、養護施設のように、育て、買われる日を望みま
す。『クランダの店屋』は、けっこう大きい建物です。街にはストリートチル
ドレンになった、小さい子供の人形達が多く住んでいます。マンホールの蓋を
開けて、下水道のパイプが詰まった狭い空間で寒さを防ぎます。ホームレスの
子供達は、作物の残飯を生地にしたパンなどを売り歩き、スクラップを工場に
持って行ってお金やヘンザウロの3部の株券などに変えてもらいます。中には、

作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史