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ジェスカ ラ フィン

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外に出てみると、タガスは元の引き荷台の定位置に戻っていて、自転車は横
に倒れていた。

僕はタガスに訊ねた。

「君は何処に住んでいたの?」

「パパロメ様の故郷の何も無い世界のイマージュで生まれたのさ。物語が終わ
ると、自然と出てきたんだ。自分の行きたい場所に行くことができたんだ。僕
はそうしてトメロスに会った。この、砂漠の世界でさ。僕の先祖は獏のような
ものでねぇ、イメージを与えられることによって成長する生き物なんだ。僕達
は、パパロメ様のお父様から生まれたんだ。お父様は、偉大なんだ」

へぇ、と僕は頷いた。トメロスは砂原から自転車を上げて、ロックをかけた。

「僕は週に一度配達をしているんだ。下の世界では直接家が店屋に行くみたい
だけど。便利だけど、合わないと思ったからヘーミッドにいるんだよね。何時
の時代か分からないけど、僕はこうして1人で流れ続ける砂漠を渡ってサーカ
スをしている」

トメロスは胸を張って笑った。

「もう一度ショーを見ないかい? 集中していたら嫌なことなんて忘れちゃう
し」



僕は中に入った。トメロスが玉に乗って象とショーをやった。終わると、大
きい玉がバン!! と割れて、ポップコーンを出した。僕は1つ摘まんで、食
べた。



砂が落ちると、外に出ることができた。月が3日月になっていた!! タガ
スは目を閉じて欠伸をした。トメロスは、僕になついたみたいで、一緒に歩い
てきていた。永遠に子供なのだろうなと思った。空がほんの.しだけ青く明る
くなった。星が、砂丘とその稜線と同じに見えた。僕達、3つの生命体は、遥
か地平線を見ていた。ロマンだ。

「もう行かなくちゃいけないの? 淋しいよぅ…」

「しょうがないじゃないか。僕も君も行かなくちゃいけないところがあるだろ
う? 僕は君から貰った自転車がある。君のことは忘れないよ」

「自転車は決して砂にタイヤが埋まらないよ。罠があれば別だけど、そんなこ
とはないから大丈夫。さようなら」


トメロスは言って、台に乗って、ゆっくりと、北東の方へ行っていってしま
った。さよなら。と僕が心の中で呟くと、優しい甘い声が聞こえてきた。気の
せいだった。空耳だった。



木陰で休んで、目が.めると夜だった。振り返って遠くを見ると、鈴をつけ
た裸のように見える牛が歩いていた。自転車を押して駆け寄って話し掛けてみ
た。

「象を探しているんだよ」

牛は言った。

「どんな象?」

僕は牛に訊いてみた。

「牙の生えた象だよ。耳が食べ物みたく大きくてさ、美味しそうなの。僕は豚
丼の豚肉だと思っているけど、丁度良く体がくすんでいて汚れていて、可愛い
ヤツなんだ」

「君は何を食べて生きているの?」

「象は虹を吸っているよ。みんなにバレないようにそっと、鼻を近づけて。僕
は草を食べている」

「なんで象を探しているの?」

「君、喉が渇いてない? 僕の牛乳を飲むといいよ。僕はタタソソマラティと
言うんだ」タタソソマラティは自分で牛乳を搾って背中にかけてあるバケツ
に牛乳をくれた。僕は、牛乳をたらふく飲んだ。

「旨かったよ。僕も、途中まで象を探してあげようか?」

「ありがとう。僕はとても嬉しいよ。ちょっと頼みごとがあるんだけど、背中
を掻いてくれない? 蝿のトポが悪戯でこちょばしきて痒いんだ」

タタソソマラティ舌を出して言った。蝿のトポがタタソソマラティに言った。

「俺がいつそんなことをしたっていうんだよ!! 俺は何も悪さをしてねぇか
らな!!」

「悪戯したよ。昨日の夕ぐらい」

「何時から痒いんだよ!!」

トポはタタソソマラティに怒鳴った。

「あっ、そう言えば、名前は何と言うんですか…あぁ、エクアクスさん、象の
エニを探してくれるのはありがたいですが、どうやら、エニは、兎のソフサラ
コマと言う者と一緒に林の中にいるようです」

トポは僕に教えてくれた。

「そこには水があって、体が癒える泉があるみたいです」

「モー」


トポはタタソソマティを殴りつけた。

「貴方は何処まで行くんですか?」

「あの、確か、『金融経済国ヘンザウロ』です」

「ヘンザウロね。あそこは、ここの世界の金融の全てを行っているよ。僕は、
あそこで乳牛をやっていたことがあるんだ。いい仕事だったよ。あまり.えて
いないどさ。さぁ、行こう。ここから渓谷とかを越えて、砂漠を進むと、林が
ある。そこに、エニとソフサラコマ君がいるに違いないから」

トポは言って、僕等は歩き始めた。



林が見えてきて、中に入った。前方から水の流れる音が聞こえてきた。茂み
を掻き分けると、泉の向こうに象とソフサラコマがいた。

「ソフサラコマ!!」

僕は我を失って大声で叫んだ。

「エクアクス!!」

なんだか動きの鈍いソフサラコマは僕の声に気付いて、笑い顔を見せた。

「今までどこに行ってたんだ!! どうやってここまで来たんだ!!」

「ペパラロンテの管を通ってきたに決まっているじゃないか! 仲間達とは僕
だってはぐれてしまったけどさ!! 象のエニの話だと、ウィズウィングルは、
港町『ヘミダグリン』の超特急高速船に乗って、世界観光名所、『フェザ山脈』
の麓にある、『レーピオンドの町』へと行ったらしい。そうですよね?」

象のエニは頷いた。

「船のチケットがくじ引きで当たったそうです。外の砂地で0った1ウォーク
ンで。すごい有名な話でしたし、1昨日の夜のことでしたから、町にいた悪い
烏がギャングのハゲタカに言って、ハゲタカの会話を盗み聞きしていた蝿がこ
のトポに教えて、トポがタタソソマラティに言ったのです」

「ホントなんだよ。聞き.えのねぇ、馬の肌に似た人間が幸運を引き当てたか
らさぁ、すぐに空のネットワークに引っ掛かったんだ。暴れまわって絡まって
糸の天球ができると思ったのによ、昔からのズルイ知恵使いやがって、機能的
に動くんだ。3つの夢のファンタロ爺さんの話もそのぐらい凄かったけどよ、
あの時はハゲタカとハゲタカが頭をぶつけて落下しただけの話だぜ」

トポがタタソソマラティの脇腹を叩いて喋った。

「ソフサラコマ君達の仲間だよね」

タタソソマラティは尻尾を振り子のように振って答えた。

「僕達は上の世界の『ソンデワン』から来たんだ。『ビチュアンゼ』国、って
いう大陸の、不思議な森から。6000年前から来たと思うんだけど」


「砂時計はどのくらい砂を下ろしたのかねぇ。まっ、どうせ、上がって来るん
だろうけど。そんなに遠い処から来たんですか?」

「ペリンガやラロレーンはどこに行ったのかな?」

僕は全員に質問するように話した。

「元は犬と孤独な暗い.年だったのだけれど。あと、エスピショーっていう調
査船の5人のスタッフも」

「うーん、それは分からないですねぇ。この世界にいることは間違いないと思
うんですが、なんせ、空はリギーのハゲタカ達が情報をセーブしてますからね
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史