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ジェスカ ラ フィン

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の大きな大陸があったのを、思い出した。晴れた日の昼ご飯(蕎麦)を食べた
後にだらしなく広げた布団に入って、埃の陽で焼ける匂い(末当は布団のカバ
ーの焼けている匂い)を嗅いで何かに見える雲を多分鳳凰に見えたちぎれ雲を、
世界が蒼く回っているのを感じながら合わせて見ていて、用があって下の階か
ら呼ばれると降り、上がって布団の上に陽が射し中に入って見てみると、もう
形が無くって分解していたあの雲を。僕は1人で見たかったんだ。陽に溺れて
溺死したソファーの上に入って、見終わったテレビの画面の埃を見ながら、テ
レビに映る自分の姿を見ながら、僕は胸の痒みを感じ、孤独を感じ、瞼の裏の
奥の、鼻腔の奥の、永遠の辛さを感じた。そこまでくると暗闇に戻って、僕は
やはり1人で海を見ていた。変な教会で働く前の、小さい頃の記憶を思い出し
ていた。ペリンガもウィズウィングルも、スタッフも操縦.の機械のウィーン
という音も、皆僕の為に鳴っているんじゃないかと思ったぐらいだ。シートを
思った。彼らの重力を思った。夕暮れになった。僕はお腹が空いた。

「それでは食事にしましょう!! 1.僕はコックですから、何でも作れます
よ!!」ホートロが言った。


「じゃあオムライスでも食べようか?」

そう言ったのはダビャーズだった。僕は色々なことを思ってから、急に明る
くなった。ソフサラコマに話しかけ、ちょっかいをかけていた。みんなでオム
ライスを食べた。僕が皿を片付けて壁を利用したテーブルの上にあるスプーン
を流し台に持って行って食器洗い機に洗剤を入れて洗った。

「あっ、食器洗い機から出して上の棚に入れておいてくれ」

ダビャーズに言われた。ケチャップをしまう時に僅かに飛び出したケチャッ
プを親指で拭取った。これは血じゃないなと思った。みんなで話をして、奥の
部屋に行ってスチームの入った肌触りのいい.物と掛け物がある薄いベッドで
寝た。みんな段になって寝ていた。運転を止めてボールで囲んである無料のパ
ーキングエリアに停泊した。僕は浮遊船に頼んで天井を開けて月を見ていた。
満月で近付いていて気持ち悪くて蜘蛛が黒い衣服の毛の糸のように浮かんでい
たけど気持ちが良かった。星が微かに出ていて煌いていた。ホメネカさえいな
ければ、と思った。僕のようだと思った。ラジオを持ってきてもらってつけて
みると、世界中がホメネカの話題について持ちきりだった。何か映画のような
気がした。僕は枕の新品の、暗い白い壁を見ながら匂いを思った。なんで陽が
…と思った。僅かに色の違う壁の僕の視線。枕と.物の上に覆った.物のずれ
る雪を踏みしめるような音。可愛い雪んこが籠を持って師走の平和な月に照ら
されて歩く音。現代じゃない僕が考える世界。枕がパイプだった頃に考えてい
た世界。月の光は、.物の透明な色は、枕と.物の隙間の背中を包む冷たい愛
のある水溜りから剥がした薄い氷のような空気だった。振り向くことができな
い古の世界。枕の中身のストローをきっと固い鋏で短く切ったパイプを白いネ
ットに詰めた枕のパイプがカス、と動いて耳元で落ちて胸筋より奥の、心臓の
肉のおそらく艶々とした表面の1部を震わせて、起き上がってわざとブライン
ドを上げて煌々と光る月を高くないように見せていた目の前の家が邪魔だと思
って寝ながら見ていた世界を。考えて体が暖まると、.し動いてみんな寝てい
るのを確認した。僕は安心したことを確認していて、もう寝ることにした。



朝チャーハンをスープでぐつぐつ煮詰めたような食べ物を平皿に取り分けて、
食べた。皆はもりもりと食べた。皿をソフサラコマがペロペロと舐めた。空は
曇っていて光が入ってきていた。僕達は椅子を呼んで、元の状態に戻した。海
は進むスピードと同じ速さで光り続けていた。均等な光。先まで喉の先まで見
たくなるような景色。鴎か雲か胸筋が痛む為に見ている。僕の昔1人旅で見た
海には光が夢を乗せて船と同じ速さで走っていた。3車線、飛んで自動車の3
車線が果てまで交差する海上高速水路。僕達はまた空から機械的に垂れ込めた
雲の人口トンネルを通った。寒さが、雲の水蒸気の湿気が、通過した森の中に


潤いを与えた。チンパンジーか、猿ぐらいに顔の良い猿人類が、辺りに動物の
気配が無いのに、蔓と木にぶら下っていた。体毛が髪を洗った後の長髪の女性
が風呂上りすぐに頭をぶらーん、と下げたように、濡れたように軒下を思う1
軒家の1階建ての平屋に住む.女を思い浮かべて見た。猿はここに来る前の僕
達を見ているようだった。やはり、チンパンジーは、柔いゴムのような口を家
鴨のようにうに、と通過する時に、振り返って見てみると、曲げた。ホートロ
はウィズウィングルと一緒に、コーヒーとクリームを持ってきた。

「コーヒーを掻き混ぜる小スプーンを持ってきてくれよ」

ジョンプは言った。プログラムをオートにして、みんなで景色を楽しみなが
らコーヒーを飲んでいた。森の中では、猿がやはり喚いていて、鳥や、きっと
頭の良い鸚鵡が考えることを邪魔するように、鳴いていた。座っているシート
はテーブルを囲んで景色とジャズに浸れた雰囲気を見せてくれていた。.内は
暖かかった。2500年経ったけど、冬じゃないかと思った。外を見ると、ち
ょうど薄い緑色の流氷が流れて来ていた。

「アザラシの群れがあそこにいるぞ!!」

ペリンガが言って、僕達は乗り出して見てみた。エスピショーよりもの凄く
遅いスピードで流氷の群れは飛ばされていった。

「あっ、確かにアザラシがいる」

スタッフのシャクトラが言った。

「.の『宗教国スギミダ』は、気候が変わったせいか、雪国なんです」

ラロレーンが言った。

「ピアノの演奏会の出張で、幼い頃、と言っても2500年前ですが、『流通
国パシキゾーフ』の高速道路と、『娯楽国ホケメダン』からの船で一度だけ行
ったことがあります。教会とか寺院とか…聖堂とかがあってすごかったですよ」

「…『ダギラメの谷』の伝説のシンラークとホチョーチの子孫はどうなったか
分かりますか?」

ソフサラコマはパパンに聞いてみた。

「…待ってください。…えーっと、シンラークの子孫は、…『娯楽国ホケメダ
ン』で1昨年没しています。ホチョーチの後子孫も、…亡くなっています。
『商業国コラダングス』でです」

パパンはソフサラコマに答えた。

「それにしても.国なのに流氷が来るなんて滑稽だなぁ。水温が低すぎるから
泳ぐのは、無理だろう」

ペリンガは独り言を呟いた。勢い良く浮遊船が通り過ぎて行った。ボールは
波につられて上下に揺れていた。スケルトンのレールが遠くに見えた。レール
はエメラルドグリーンの薄い氷で、張られていた。雲が曇り空から離れて、青


空を開放した。ついさっきまで見えていた海上高速道路は何処かに消えていた。
エスピショーは時速400kmを出していた。まだ「宗教国スギミダ」は見え
なかった。

「宗教国スギミダ」のポートには、浮上して下りなければならなかった。白
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史