ジェスカ ラ フィン
だけ隠れる鉄火面を下ろして、一度体内に融合させたケンタウロスの群れを呼
び出し、棍棒を持たせて落下させた。砂の.で見えないピーチュアルを攻撃し
た。虫の.を降らせた。大抵は蝿だった。そして、皆、死んでいた。
上昇していた戦闘意欲が、虫が下りてくるにつれて下がっていった。ケンタ
ウロスの群れが虫の振る1部の空間を削り取って、1回転して掻き消した。残
っている黒の塊は、岩になった。僕等は上昇しながら、砕いて、飛び上がった。
ピーチュアルは荒呼吸をしながら、片方が、胸元に巻物を挟んでいた。ソフサ
ラコマがマラダラの巻物を持っていない方のピーチュアルの胸を切り裂いて大
きい肉片を4方に吹き飛ばした。肋骨の見えたピーチュアルはよろめいて後ろ
に下がって叫び声を上げた。末物のピーチュアルが空間をクッションかゼリー
のような柔らかさの、フランスパンのような形にして相手から見て山折に曲げ
て僕達を包んで、端と端をくっ付けると、勢いよく逆側に戻して、吹き飛ばし
た。雪山で起き上がれなくなった僕達は、下の地面が隆起して、吹っ飛び、体
に付いていた虫が爆発して煙を空中に残して軌跡のように落下していった。時
計の針の進路方向のイメージに合わせて、僕達の体が抉れるように地中に潜っ
ていった。
「はーい、みなさーん!! これから『ソッチョルゾ城』へ向嘗て土の中を進
んで参りますよー!!」
元に戻ったピーチュアルは言った。
僕達は土の中に突っ込まれ、土を飲み込み目に砂や訳の分からないものが入
りながら、さらに深い地中に潜ったピーチュアルに引っ張られて、先へ、先へ、
と突き進んでいった。そして気を失った。
夜だ。地表の割れ目から、ぐるっ、と月を見上げると、きらきらと埃のよう
になって輝いていた。
腹の部分は血だらけになっていた。ドバッ!! と上がると、下方に色街が
見え、案外下で月に輝き、長屋の連に落ちると、人々はワーキャー言って、も
っと早く逃げればいいのに、逃げて行った。瓦で肋骨が折れた。隣の畳の部屋
で、男と女がセックスをしていた。ほぼ仲間の全員が、気絶していた。気を抜
くと引っ張られ、城郭の池堀辺りまで、建物を貫通して、マリオネットのよう
に飛ばされた。
「よく来たな」
リギーは、ソッチョルゾ城の頂上の、天守閣の屋根に、立っていた。チャイ
ナ服に黒のマント。伸びた羽。叫ぶと、僕達を上に上げて、00烈拳をくらっ
た。血を、糊を混ぜたみたいにゆっくり垂らすと天守閣に叩き落された。僕と、
僕の誰かと、もう1人だ。
前方の色街と右側の花街が吹き飛んだ。背中に急に寒さを感じた。後の2人
か3人は(きっと1人は移動させられたのだろう)、互いに離されて、地表の
真下に突っ込まれて、きちんと90度に曲がって、それからしばらくして、地
面に出た。くり抜いた地面は、途中から破ってきた僕達に、降り掛かった。長
屋や何か印象的な店は潰れ、人々は逃げて、戸惑い、混乱した。リギーはピー
チュアルに向嘗て言った。
「この者達をナヌコラーゼ老人の元へ返してやれ。これから、用がある」
そう告げて、マントを巻くって、姿を隠し、何処かへ消えて行ってしまった。
「分かりました。ご愁傷様です」
ピーチュアルは膝を突いて、僕達をワープさせた。気がつくと、全員ルチャ
ーナの、ナヌコラーゼの家のベッドの上だった。
「僕達はマラダラの巻物を守れずに、死んだように負けてしまったね」
「機械国ルチャーナ」のナヌコラーゼの家で、気絶してから気がつくまで3
日かかった日の朝に僕は言った。みんなはベッドの上で、傷ついた体に包帯を
巻いて、起き上がったりしてうな垂れていた。
部屋のドアがノックされて、ナヌコラーゼが入ってくるのを見た。
「気がついたかね? お前達はリギーに負けてしまったな。相手が強すぎた。
…で、どうするのだ? マラダラの巻物は『チャンチャランダの島』に残され
たまま行方不明だし、何に使われるかも分からん、パイプの縁は割れてしまっ
たし、バートンは依然、何処かへ葬られたままだ。リギーを追うのなら、『娯
楽国ホケメダン』に行けばよいし、他の盗賊団を潰したいのなら移動して、気
配を感じ、他の国に行くのもよい。しかし、今朝入ったホケメダン民放のラジ
オによると、トバラス王が、年に一度のホケメダン映画大賞・演劇大賞を発表
するのにその受賞者達の晴れ着姿を考えた者に、一生の富を与えるという褒美
を考えたそうだ。期限は明々後日の夕方までで、『農業国ビザジズドー』から
原材料を持ってきて、『商業国コラダングス』で衣装のデザイン・デッサンを
考える。取り敢えず『娯楽国ホケメダン』に行ってみることじゃ。トバラスに
近づいたいのなら、そのコンテストでグランプリを獲ることじゃ。余計なこと
は言うな。コンテストは、ホケメダン大賞発表前に行われる。由緒正しきもの
で、そうそうトバラスに近づけるものではない。狙うなら、当然トバラスを殺
すこととグランプリを獲ることじゃが、慎重にいけ。『娯楽国ホケメダン』に
着いたら、国の市役所へ行って、コンテストの.募資格を受付で済ませるんじ
ゃ」
「国王トバラスはデボズルジが変装しているんだ」
ソフサラコマは言った。
「僕はピアノの他に、デザインの勉強もしていました」
ラロレーンは言った。
ナヌコラーゼは目を大きくさせて.しずり落ちてる眼鏡を上げた。
「末当かね? 確かお前は…ラロレーン青年か? はぁー、立派になったもの
だ。エクアクス君やソフサラコマ君の話を聞いて全て分嘗ておったつもりだっ
たが…ほぉー、出会えて目.めて、めでたいこった、なら、話は早い。デザイ
ンがほぼ優勝の全てを握るが、材料もどこのブランドかも重要な1つじゃから
な。原材料の質とブランド店の縫い方の腕も、ポイント制だそうだ。そういう
ところもデザイナーやチームの中の人間達にか嘗ておる。よし、分かった。主
演女優が着るドレスをデザインすることにしよう。ここでその、主演女優のド
レスのデザインを考えてから、『流通国パシキゾーフ』を通り、『娯楽国ホケ
メダン』へ行きなさい。下絵のデザインは先に市役所に提出しなければならな
いと言っていたからな。ワシはトバラスに特別な恨みがある。ワシが若い頃、
幼い娘を殺されたのじゃ。『娯楽国ホケメダン』の『シュワイニホロコースト
処刑場』での。TVタレントだったんじゃ。….は『娯楽国ホケメダン』の地
下では、『エンパーン・カジノ』、『タイタサ貨幣生産工場局』以外にももう
1つ施設があってな、TV局が買っている人間、つまり、タレントをやってい
る人間をその収容所に入れて、トバラスの命令で犯罪人や奴隷が、刑として、
娯楽の仕事を与えられているんじゃ。娘の無念を晴らしてくれ。電気椅子で電
流を浴びた後にレイプされ、ガス.で殺された。大量にさらわれた女達が殺さ
れた。戦争で負けた時にな、昔は全ての国が武器を持っていて、争いを繰り返
していた…奴を、悪の根源である奴を倒せば、王は、タイリュー王は、完全に
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史