ジェスカ ラ フィン
6匹が、ギュリュフの前に突然現れて、戦闘の構えをした。ギュリュフは縞模
様に体の色を変えて、
「ギュリュフだ!!」
と叫んで両手を下に開いた。セネアトレクの体が動いた。砂や鉄鉱石の欠片
が浮いて、一度に全てを浮かせた。
「へへへへ、てめぇだけでどうやって俺達に勝とうとしてるんだ?」
ルトワーゼは手を開いたまま炎の棒を両手に出した。
「殺してやる」
ダンドルズは鼻息を吹き出し、体内の血液を1気に蒸発させた。ソフサラコ
マが飛び上がると、建設現場は赤色から青色に1瞬変わった。ギュリュフがセ
ネアトレクをクリアブルーの艶のある膜で覆った。ソフサラコマや作業場の人
間達は灼熱で体を伸ばされ、霜だらけになって落ちた。ほとんどの人間は砕け
た。ソフサラコマの咳は薄い氷になって割れた。ルトワーゼがもの凄い勢いで
落ちてきて、炎の棒で鉄の床を3つに割った。鉄の柱が倒れていく時に、ダン
ドルズの手が伸びて、倒れている柱が折れた。ソフサラコマは気を取り戻すと、
ジョイントで手に鳥の羽と尻尾を広げて、ルトワーゼに襲い掛かった。ギュリ
ュフが縞を出して空気中の層を歪めた。ルトワーゼを貫通したソフサラコマは、
細かい層に肉体を歪められて、ボキボキボキ…と骨の砕ける音を鳴らして、地
上に落下した。落ちる時、炎の棒を手放したルトワーゼに背中にエルボーを食
らって、急降下して地面に煙を立てて倒れた。ギュリュフが手で空気を優しく
下から上へ包み込むように間隔を.しずつ狭めて撫でると、ソフサラコマの体
は浮いて、天井まで吹っ飛んでいって鳥のジョイントの羽が砕けた。尻尾が途
中で消えて、縞を客めると、鞭で弾かれたように、後ろへ吹っ飛んでいった。
ルトワーゼとダンドルズが光の弾を同時に投げ込んで連発した。鉄筋の踏み台
は崩れ、ソフサラコマはその中に埋まった。
ルトワーゼとダンドルズが瞬きをしようとしたその瞳に、前方の奥からソフ
サラコマが鉄橋を上がってきて、瞳の表面に、ジョイントを高速で伸ばした。
2匹は瞼が真っ2つに割れ、眉毛の部分もおでこまでも、切れて大量の血を噴
いた。勢いはそこまででは収まらず、瞼の延長上の空気まで切れた。そこの空
気に切れ目が入って火走が走ると、ルトワーゼとダンドルズは目を真ん中だけ
真っ黒にして、下降していった。ギュリュフは右手に縞を巻いて、片手で右手
を掴んで、力強く引っ張った。ソフサラコマは肉体の表面が引きちぎられ、切
り傷ができて血が噴いた。しかしそれからソフサラコマは雷を放電し、縞の線
を伝って、ギュリュフを感電させた。ルトワーゼもダンドルズも地面で力尽き
ていた。空中が光出して、若者と青年と、もう1人若い男性が落ちて着地した。
頭を押さえ、体を起こさずに、ゆっくりと辺りを見回していた。エメラルドグ
リーンのグローブを纏わせて、縞を引っ張って鉄筋が崩落した場所で背負い投
げをして吹き飛ばした。縞は消え、ギュリュフは壁にめり込んで岩の欠片をバ
ラバラと落とし、咳を遠いところから吐いた。
ソフサラコマは空を飛んでギュリュフの胸ぐらを掴んだ。
「僕の両親をどこへやったんだ!!」
「…リ、リギーがて、てめぇの父親のセネアトレクを夜空の星座に封印し、は、
母親のパパロメを森の牢へ、と、閉じ込めたんだよ、ハハハ…」
ギュリュフは片方の目を瞑り荒呼吸をして、無理して答えた。
「俺を殺せ…お前がルトワーゼとダンドルズ達を殺しちまったからトランプの
封印が解けて、タイリューが殺されたお前の仲間達を復活させたんだ……。…
良かったな、…だけどな、俺には、まだ、たっぷりと力が残っているんだ…」
ソフサラコマが言葉を返す暇も与えずギュリュフは襟を掴んだ手を両手で掴
み、重力を足して向きを真横に変えた。1瞬にして物という物が音を立てて核
を落とされたみたいに吹き飛んでいった。セネアトレクはくの字に折れて、流
れるままに流されていった。ソフサラコマは瞬間的にエメラルドグリーンの波
を上げ、3人の人間を飲んで、両肘を引いて自分の所まで持ってきた。激しい
物質の波がしばらく押し寄せてきた。ハーッハッハッハー!! というギュリ
ュフの声が途中聞こえてきて、物音が聞こえなくなると、ギュリュフのジョイ
ントが解けたようで全ての物がジョイントの埋まっている壁の下に山を作った。
目を開けて3人に声をかけてジャンプして山を下りて埃を払うと、3人はソフ
サラコマに話し掛けてきた。
「私ですよ、ウィズウィングルです。私は、思い出しました、私は、前世、ペ
リンガの兄だったのです。4匹の封印が解けて、馬から、人間として、生まれ
変わったようです」
ウィズウィングルはナイトキャップをし、茶色のサンダルを履き、コットン
の縞の灰色の長ズボンを着、コットンの縞の水色の長袖を着ていた。
「ソフサラコマ君、.えてないですか? 僕は、ラロレーンですよ」
ラロレーンは皮の茶色の長ズボンを履き、群青色の長袖に茶色のサンダルを
履いていた。
「こんにちは、私はウィズウィングルの弟のペリンガです。あなたのおかげで
助かりました」
ペリンガは茶色のサンダルに、皮の茶色の長ズボン、コットンのクリーム色
の長袖を着ていた。
「生き返ってくれたんだね…」
ソフサラコマは腕で瞳を拭き、涙ぐんでいた。
ソフサラコマと3人と建設現場で働かされていた研究員達は辛うじて壊れて
いないエレベーターを使って、地上に出た。1つの銀坑を抜けると、トラック
や運搬車が走るでかい坑口を脱出した。そこから坂を下りて、盗賊団の手下の
いない、中心街に入った。
「結局巨大機兵は潰れてしまったね…」
「頭部も見つからずじまいだったですし…」
「…これからどうします? その、ナヌコラーゼ老人の家に行って、パイプの
中に入ってエクアクスさんとバートンさんの2人を探しに行きますか?」
「いや、いいんだ」
ソフサラコマは首を振った。
「エクアクスは、体と心を癒すために、1人で『チャンチャランダの島』いる
んだ。バートンとは、まだこの先も会えないかもしれない。僕達は、ナヌコラ
ーゼ老人から、今後どうすればよいか聞いてみよう、そして『娯楽国ホケメダ
ン』に逃げたようである、ギュリュフを追いかけるために『流通国パシキゾー
フ』から『娯楽国ホケメダン』へ行こう。鍵と免許証はパイプに入る前にエク
アクスから受け取ったんだ。高速道路を使って、どのくらいかかるか分からな
いけれど、ナヌコラーゼ老人の話も参考にして、エクアクスが帰ってくる前に
盗賊団の一味を壊滅させるんだ」
ナヌコラーゼ老人の家に着くと、ソフサラコマ達は居間に招待されて、テー
ブルの椅子に腰掛けた。優渥なタンタリィは、彼らに手作りの焼きたてのクッ
キーと、色の濃い紅茶を出してくれた。ナヌコラーゼが紅茶をひと啜りした。
ダイニングルームの窓からは、工場の煙がもくもくと出ているのが見えた。ソ
フサラコマや他の3人は、ナヌコラーゼの顔を見た。
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史