ジェスカ ラ フィン
ガタガタと落ちていった。ジョイント、ギュリュフが叫ぶと、断層が1回転
して、もの凄い重力をかけて地面に叩きつけられた。ジョイントで跳ね返す
と、今度は下の重力で窒息しそうになった。ジョイントを地面に伝わらせる
と、身軽になって、飛び上がった。壁が活発になって襲ってきた。両手を下
に向けジョイントすると、意識した4方の壁が爆発した。ギュリュフに背中
を傷つけられた。ギュリュフの耳と鼻の先を意識すると、ギュリュフは伸び
て、爆発した。下からジョイントの絡まりを解くと、爆発の煙がジョイント
を覆った煙をぐるっと両方から伸びて、囲んで繋がると、ブレードを伸ばし
て構えて、大爆発させた。
ギュリュフはボロボロになりながらとぼとぼと歩いてきた。僕との距離を
半分以上使うと、ばた、っと倒れた。開いた人差し指で地面を掻くと、地面
が上に吹き飛んだ。僕は全身の服がボロボロになって裸同然になった。上空
に固定されると、十字架に張り付けられるような格好になって、飛び上がっ
てきたギュリュフがジョイントと叫ぶと、両腕を上げられて、真下の.の中
に突っ込まれた。沈んでいくと、ギュリュフが.を避けて手を持ち上げ、上
へ飛ばした。浮き上がった.から抜けると、.は意識を持って襲い掛嘗てき
た。ジョイントで突入して、ギュリュフに突っ込んだ。ギュリュフは入り口
に飛ばされて、すた、っと起き上がった。僕がターンをして真空刃を、ジョ
イントを最大まで高めて飛ばすと、ギュリュフは左腕を切られてよろけた。
「分かった!! 僕の負けだ!! ?セネアトレク?を探してお前を殺して
やる!! 『ルダルス』へ行け!! そして力をもっとつけろ!! さぁ、
階段への壁を開けてやる!! だがな! .えとけよ!!」
ギュリュフは入り口へ逃げ、そして翼を生やして.の方へ飛んでいった。
奥の壁は微塵切りに壊れ、空から13月の石が落ちてきた。そして階段の横
にあるソフサラコマの閉じ込められている籠を爆破させ、ソフサラコマを助
けた。
「!! いつの間にそんなに強くなったんだ!? ま、まさか、その魔法み
たいなやつでギュリュフを倒したのかい?」
僕はソフサラコマの傍へ寄って、
「あぁ。いつかお前にも使えるようになるよ」
と言って、それから階段の前の大きな玉座に最後の1つを当て嵌めた。階
段に光が差し、僕達は頷いて、ゆっくりと上がった。階段は別の空間に通じ
ているようだった。光に包まれて上を目指してゆっくり歩いていくと、眩し
い輝きに包まれた。
階段を上がると、大きな神殿の中に出た。天秤の置いてある大きな広間に
上がると、金塊を箱から天秤に移している子供がいた。僕が靴の音を立てて
歩いていくと、眼鏡をかけた学士.を被り紺色の外套に紺色のコットンの上
着とズボンを履いた15歳ぐらいの.年が僕達に気づいた。
「あぁ、こんにちは、ようこそ、『マタハラーの神殿』へ!!」
白色のサンダルを履いた.年は照れ笑いをした。
「地上人の方ですか? ここはあなた方が俗に言う、?天上世界?と呼ばれ
るところです! ここでは、あなた方の命の時間が通常の10倍で減.して
しまいます。この神殿は別名で、『命の神殿』と呼ばれています」
ソフサラコマは僕の顔を見て、それから.年に言った。
「ここは末当に伝説の『浮遊王国ルダルス』なんですか?」
「はい。そうです。ここはあなた方の想像していた通りの、『浮遊王国ルダ
ルス』です」
「『浮遊王国ルダルス』?」
僕は目を丸くした。
「ええ、此処は浮遊石の.に位置する場所にあります。僕の名前はネルスと
いいます。この神殿で、異国の世界から来た方々の命の時間を天秤で量って
残された時間を宝石にしてペンダントにします。ペンダントがないと、先ほ
ども申しました通り、この部屋を出ると10倍の速さで歳をとってしまうの
です。時間を計りましょうか? その兎さんのペンダントにはひびが入って
いますね? ここで作り直しましょう!!」
「僕はこの国からコイツ宛てに地上の森に飛ばされたんだ。その前の記憶が
ない。僕は、この国で生まれたのかなぁ? どこに行けば分かる?」
「タイリュー王に聞いてみてごらんなさい。取りあえずペンダントを作り直
しましょう。北には『チャンダング図書館』があります。浮遊大陸の中心に
は『トヤランズ城』があります。『ホケメダン』から盗難された調査船も我
が国が総力を挙げて修理・改良し、北東の橋の架かった『スワンダの小島』
に置いてあります。『バンダラ天文所』は、『トヤランズ城』よりもさらに
上にありますよ、ぜひ訪ねてみて下さい。…あっ、ボトルに死の使い捨て水
が溜まっている。もう.しで、ここでペンダントを作った人が亡くなるんで
す、…ちょっと誰が亡くなりそうなのか見てきますね」
そうネルスは言って走っていった。
それから僕は体を拭いて体重を量った。天秤を使って、.し離れた所にあ
る金塊の粘土の山から、同じ重さの金塊をスコップで削って引き千切って、
水よりも.しトロトロとした液体の入った満杯の容器に大理石の階段を使っ
て静かに沈めた。溢れ出た水は特別な構造をした装置を伝って水槽に溜めら
れた。
天文学の用語や数字や方程式が理解のできない言葉や図式で書かれた箱の
中でライトを下から浴びて、僕の命の時間が計られた。機械を動かして紫の
宝石をプレスすると、ソフサラコマが持っているペンダントと同じものがで
きた。
「どうぞ。できました。あなたの命の残りの時間は言わない約束です。さぁ、
身につけて下さい」
そうネルスは腕を伸ばして、僕に手渡した。
7 パシキゾーフ高速道路
ペンダントを受け取ってソフサラコマのペンダントも直してもらうと、僕達
は外に出て果てしない空の荒野を見下ろしていた。強い風が吹き荒れて、下の
方の雲がすごい早さで西に流れていった。此処は何処なのだろう。ソフサラコ
マが飛んでいっていないかどうか不安になって横を見てみた。ソフサラコマは
笑っているがしかし寂しい表情を隠して、雲が晴れた先にある誰も住んでなさ
そうな大陸の山を見つめた。
「ここって、きれいな所に立っているんだね」
「立っているんじゃなくて浮いてるんだよ」
「あっ、そっか、そういうことだった。思い出した」
ソフサラコマは歯を出して口を開いて声を出した。
「仲間が死んじゃったんだよね」
ソフサラコマは表情を変えずに呟いた。
僕は何も言えなかった。やっと、
「…あぁ」
と声を出した。もみ上げを触って後ろに持っていって、頬の刺激を感じてズ
ボンの上から太股を掻いた。風の音が気になった。自分が強くなって変わった
ことに余裕を感じていた。ソフサラコマのことを忘れて自分のことを考え過ぎ
ていた。ボロボロになって傷付いた自分に泣いた。蹲ることをしなくて.熟だ
と思って泣いた。ソフサラコマは今まで感じていたものよりソフサラコマに思
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史