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ジェスカ ラ フィン

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バートンがそう叫ぶと、煙を突き抜けて翼が見え僕等はその背中に乗った。
「ターピスの灯台」を斜め上に向嘗て端の入り口を探した。螺旋階段が、灯台
全体が傾いていることを示している。入り口まで行くと、灯台が回転してもの


凄い速さで回った。空間に浮かんだ水の壁が吹き飛んだ。景色がめちゃくちゃ
になった。

「…どこだ!?」

微かに見える茶色の粒のトーワラは壁に立って槍を投げた。投げた槍は近
付いてくるにつれて巨大になり避けると頂上から飛び出して消えていった。
見とれていると、鳥の足を掴まれて、叩きつけられて僕達は吹き飛んで、鳥
の脳みそが飛び出した。

「もの凄いスピードでこの灯台は上空で回っている!! 振り落とされる

ぞ!!」

鳥の死体を後ろに投げたトーワラは、不適に笑って、回転する「ターピス
の灯台」の壁をゆっくり、1歩1歩歩いてきた。後がない。

ペリンガは駆け出してトーワラにタックルを決めた。しかし図太い腕で吹
き飛ばされて壁に叩きつけられた。

「…ち、力が出ないんだ…ジョイントはもう無理だ…」

ペリンガは震えて、倒れた。

「我々ももう終わりですね…」

バートンが埃まみれの汗を流して、顎鬚を湿らせた。

「ど…どうすれば…」

バートンが嘆いていると、僕は再び左腕を輝かせて、光の筒にブレードを

伸ばした。

僕は駆け出して出っ張った螺旋階段を飛び越え、トーワラの肩肉を削ぎ落と

した。べちゃ、と肉片を落とすと、トーワラは笑って僕の重力を傾けて壁に

何度も激突させた。

「ここの重力が俺の頭の中で働いていることは分嘗ているだろう?」

トーワラはそう言って、シールドを体の中に溜めている僕のジョイントを
.しずつ減らしていった。ブレードが「ターピスの灯台」の壁を傷つけた。
壁に傷が入って、外から突風が入ってきた。

「ギャハハ!! どうする!? この灯台の中を真空にすることもでき
る!! 突風が入ってくれば、お前達をロックオンして、真空刃を飛び散ら
せることもできるぜ!! ハァァァァ!!!」

ターピスの灯台中の水蒸気をみえるぐらいの大きさにすると集めて、浮き
上がらせて、氷結させて、天井へ飛び上がらせた。ジュパジュパァ!! …、
と全ての壁に無数の穴を開けて、氷の塊は弾丸のように飛び出した。しかし
僕のジョイントで操作した氷の弾のシャワーの隙間から、頭から弾丸の抜け
たトーワラの笑う顔が見え、体中に無数の穴が開いて出血も噴水のように切
れて、曲がって飛んで、浮いたペリンガはどうしても間に合わなくて腕の数


箇所だけ貫通して、僕は地面を伝ってジョイントで創ったシールドの水溜り
を仲間に伝えた。僕の体は空中に浮いて体から伸ばした液体が地面に小さく
なったエメラルドグリーンの水溜りに映った。シールドが消えると、僕は天
井にぶつ嘗て、ターピスの灯台が地上に落下した。粉々にひびが入った壁を
眺めながら右に落ちた。トーワラを見ると頭を押さえて動かなかった。頭の
上に無数の穴が開いていた。脳みそも血液も全部出たようになっていた。

「うあぁぁぁぁ…」

呻くトーワラは壁を仰いで、肘をついて、後ろに体が下がって、口をだら
しなく開けて、絶命した。僕は気を休めた。外は、夜になっていた。



バートンと肩を組んで、絶命したトーワラを恐る恐る越え、ペリンガを抱
き上げて焼き焦げた森の中に出た。梟が静かに鳴いていて、月が寂しく出て
いた。



僕達はお互いを支え直し、.の「イージュの町」を目指した。

長かったが森の中を通り抜けて、最初のガンズと戦闘した場所を越えて、
急カーブが2回続いて、明かりの点ったイージュの町が見えた。宿屋に入る
と、体中の傷を見て驚いた店員が、医者を呼んでベッドで横になっている僕
達を数人で看病してくれた。



「絶対安静です」

医者にそう言われた。包帯でぐるぐる巻きの僕達は、「ジャトジャス遺跡」
に行くことだけを考えていた。警察に通報されても警官は倒せるが、リギー
だけは今だけの力じゃ倒せそうになかった。僕達は案内人なしにジャングル
に向かうことにした。ソフサラコマにはまだ、ジョイントの力は芽生えてい
ないのか。



朝になると誰かに邪魔されないうちに町を出た。緩やかなカーブを右に曲
がってジャングルの中に入った。傷口が痛んだが、僕のジョイントで光を当
ててバートンの傷口を治し、エメラルドグリーンのシールドで歩けるほどま
でになった。バートンは免許証以外お金を全て宿屋に置いてきた。財布は、
ポケットに入れてその上の口を縫った。ペリンガは、歩くことができなかっ
た。治癒力が遅かった。胸の中で抱いている間に傷口に液体を染み込ませて
包容していたが、1向に傷口が塞がらなかった。彼は、眠っていた。




マングローブの中に入っていくと、途中で旅人と会った。僕達を見かける
と、

「トレジャーハンターなんです! ?ノザロッチ?という者です!!」

と挨拶をしてきて.子を取った。見たところ若い青年だった。

「僕はこのジャングルの奥の、『ジャトジャス遺跡』というものを探してい
るんです! 僕の仲間の調査隊が、『イージュの町』の方と.の河口の方か
らと、2手に分かれて潜入しているんです!! あっ、すみません、僕は
『ルチャーナ』出身の者です!」

ノザロッチは盗賊団が「ジャトジャス遺跡」で待ち伏せしているのを知ら
なかった。僕達が守ってあげるよ、と思った。結局そうなるんだと分かった。
しかし、バートンも僕も何も言わなかった。ペリンガがやっと起きた。ワン、
とわざと鳴いて痛々しい手を伸ばして目を擦った。目をはっきりさせて開い
て、ノザロッチの奥の獣道を睨んだ。怪我をしているが急に気品の出したペ
リンガは、離してくれと言わずに、背筋だけを.し伸ばして景色を眺めてい
た。彼と会ったおかげで、朝食を取ることができた。



トーワラとの戦闘で、戦略というか攻略が.し上達したような気がする。
ここまで来ると、なんだか、先のことを考えるのも楽になる。要は、「ルダ
ルス」に行く前に、ソフサラコマを救って、リギーを倒せばいいのだ。そう
考えると案外楽なような気がした。トーワラはリギーが作ったものだし、僕
達はリギーにあそこまで迫った。

「どうやら盗賊団には、多くの部下がいるようですね。あなた達の活躍なの
は分嘗ていますよ。ジュデやガンズやトーワラが死にました。どうですか?
強かったですか?」

僕はノザロッチがなんでただの探検隊なのにそんなことを知っているのか

と思った。

「羨ましいです。命を賭けて戦える。だから、強い。しかしね、末当はね、
空いたゴキブリのジャンガズガンズ様の位の争奪戦なんですよ、今」

しばらく間が空いた。

「では、私が、盗賊団だったらどうします?」

ノザロッチはそう言うと、やはり化けの皮を剥いだ。

蔓が前から伸びてきて僕達の顔を、音を立てて叩いた。ノザロッチは顔、
形を変えた。
作品名:ジェスカ ラ フィン 作家名:丸山雅史